■ 競技用DLG機 Hayabusa 9.2 の製作



■機体の設計

hayabusa9はとてもバランスが良く、不満があるわけではないのですが、
少し変更を加えてみる事にします。



hayabusa9ではナロー翼機のデメリットを補う為に
高翼構造にすると共に、ロングテールにすることで自立安定性を補ってきました。

これらが失速しにくい独特の操縦性につながっていました。
でも、マイルドな反面、舵への反応が鈍い面が否めませんでしたので
これらを改善・・というか肩翼、標準テール長さにしてみる事にします。

ちなみに hayabusa9 の基本スペック

要素
スペック
翼面積
 20dm^2
翼平面形
 中央翼弦165ミリ
翼型

 AH84 mod

翼面荷重
 11.5dm^2
機体重量
 230g程度

今回の機体コード”9.2”も同スペックで製作を進めます。

 

■前縁テープ

前縁のテープの仕込み。大量に準備しておくことにします。

98g/m^2のカーボンにWeb Shop kbさんで販売されている両面テープ
・3M 極薄両面テープ 924  もしくは
・3M 極薄両面テープ 467MP を貼ります。

写真は巾19ミリの924タイプです。隙間無く詰めて貼ります。

ホツレ止めと、削りしろかせぎの目的でマイクログラスを貼っておきます。

カーボンクロスに55のりを吹き付けたあと、マイクログラスを乗せる様にして貼ります。

あとは、一定の巾にカットするだけ。

私の場合は巾14ミリにしています。この方法だと、テープの巾に影響されないので、テープ購入の際にテープ巾を気にする必要はありません。


 
■尾翼
 

今回はエレベーターをパイプに直付けしてみます。

エレベーター中央を切り欠くつもりなのでカーボン製のコの字材を入れました。4ミリのカーボン角パイプを割って作ったものです。(重量は0.2g)

ちなみに写真に写っている2本のスパーの内、長い側の1本は厚さ0.5ミリx巾3ミリのカーボンスパー。強度は十二分です。(重量は0.5g)巾3ミリなので堀込みに隙間が出来ます。この隙間は軽量パテで埋めておきます。

カラーリングですが、個人的にどうもスタイロフォームの色が気に入りません。

今回はコアに着色してみました。手元にあった”サンド色”を使用。

重量は1枚につき0.5g程度重くなっていると思います。

使用したスプレーは東急ハンズで買った”ハンズセレクトスプレー”。

発泡スチロールもOKと書いてあり、コアを溶かす溶剤は入っていないようです。

さらに、模様を入れる為に和紙(PLYSPAN)をいれました。

まずバックプレートに樹脂を塗り、和紙を置きます。その上にマイクログラスをいてから樹脂を乗せます。

樹脂を塗り終わって、トリミングしたところ。

最近は尾翼は前縁テープを省略しているので、それをカバーする意味で前縁部はマイクログラスを2-3ミリ大きめにカットしています。

使用したマイクログラスはHobbyKingのチープな18g/m^2の製品。値段は激安0.99$(送料別)

国内で販売されているものより薄く、軽く仕上がると思います。

シックな色に仕上がりました。シックすぎて視認性が悪そう・・・

重量は水平6.82g、垂直5.05g合わせて11.87g。いろいろと手を加えた割には軽く仕上がりました。

着色、和紙貼り、0.5ミリスパー、エレベーター補強により1.5g程度は重くなっているでしょう。

今回はテールの取り付け位置を少し前にするつもりなので少し重くなるのはOKです。

尾翼台座を削り出します。パイプに直付けする際に隙間を埋める役目。

側面はマジックで黒色に着色

台座はパイプとの隙間を埋める役割。

リンケージはパイプの横から取り出しました。

尾翼完成写真


■主翼

 

淀川滑空班 堺支部?のM氏が新たな材料を入手されました。梱包に用いる薄い紙だそうです。

いつも使っている江崎模型のPLYSPANと良く似ています。PLYSPANは重量12.8g/m^2、サイズ450mm X 600mmです。

この材料は巾900mm程度ありますのでジョイントせずに使えます、重量は実測値:約14g/m^2

強度はどんなものかと重りをぶら下げてみると繊維方向は25ミリ巾で2kg程度はOK。

江崎模型のPLYSPANと比較を試してみましたが、アバウトなテストなので差は分かりませんでした。

それではと、張り合わせて綱引きをしてみると2勝2敗。まあ、強度は同じくらいということでしょう。

ちなみにM氏はアラミドの代わりにこの紙をバイアスに2重貼りしたCボックス主翼を試作されています。強度はアラミドに比べ若干劣るようですが、実用範囲内だそうです。

今回はこの紙をPLYSPANの代わりに使用することにしました。

この紙は無地なので、この上にカラーのPLYSPANをデザインアクセントとして使用することに。写真の青い部分のみ2重貼りとなっています。

この影響で重量は両翼合計で5g以上は重くなりました。

 

■リンケージ

 

エレベーター/ラダーのリンケージ。

クラフトるうむ外径1.0ミリ内径0.5ミリのカーボンパイプと0.4ミリステンレス伸直線の組合せ。

カーボンパイプはブームの中に内装。写真のようにLEDライトで照らしながら、低粘度瞬間を数滴流し込んで全長に渡って固定します。

エルロンのリンケージ。

クラフトるうむ外径1.5ミリ内径0.7ミリのカーボンパイプを使用。

こちらもカーボンパイプはブームの中に内装。エルロンホーンの位置に合わせて取り出します。ホーン穴から2センチ程度のところでパイプの長さを決めます。

カーボンパイプは内部でクロスさせます。このカーボンパイプは全面接着する必要はなくブームの入口と出口を瞬間で固定するだけでOKです。

通常はリンケージはダダリオギター弦PL022(0.56ミリ)を使用。

エルロンの動き(ヒンジ)が硬い場合は0.6ミリのピアノ線を使用します。(東急ハンズで購入)

エルロンの動き(ヒンジ)は”適度に”固めにしておく事でフラッターが防げます。

リンケージのカーボンパイプの端部は割れやすいのでシュリンクチューブを被せておきます。

上側のリンケージはカーボンパイプの接着ポイントからの持ち出しが大きいのでリンケージが逃げないようにステーで固定してやります。

シュリンクチューブの部分を利用して固定しておけば、シュリンクチューブを切り取ることで取り外してやり直す事ができます。

 

■完成

 

今回からエクストラアンテナ(JR)を省略してみる事にしましたので5gは軽くできるはずですが
デザインの為に紙を2重貼りにした影響などもあり、結局完成重量(BATT込)は231gとなりました。

でも目標重量は230g なので結果オーライです。

今までになかった斬新なカラーリング。
上空では裏面からも柄が透けて見えてGOODです。



シンメトリックなデザインとしましたが、アシンメトリーにすればもっと良かったかも・・
次回はそうしてみることにします。

尾翼のカラーリングもきれいにできました。

主翼の台座も3ミリ程度低くしました。
一応、肩翼にしようとしましたが、この程度ではあまり影響はないかも・・・

尾翼をパイプに直付けして水平尾翼の取付け高さが下がった分だけ
主翼の取付け位置も下げておかないと
主翼後流 の影響を受けてしまいそうな事にあとから気が付きました。
今回、大きな影響はないとは思いますが微妙な位置関係です。

<フライトインプレション>

モーメントアームを30ミリ小さくしました。水平/垂直尾翼の面積は変更しませんでしたので
尾翼容積は小さくなっていますが、不足感はありません。

操縦性については、舵の反応が良くなりました、 特に回し始めが楽になった気がします。
昔製作したナロー機と比べるとまだ安定性があります。
これは モーメントアームを30ミリ小さくしたといっても、まだヨーロッパ機の
寸法系と比較するとまだロングテールである為でしょう。

とはいっても前作より姿勢は崩れ易く、これまでよりシビアなコントロールが必要となります。
このあたりは自立安定性とのトレードオフです。

考え方によりますが、自立安定性の良すぎる機体を飛ばしていると
ルーズなコントロールでもそれなりに飛んでしまうので
なかなか上達しないのかも・・・

重心についてはもう少し詰める余地がありそうです。

あと、ランチ時に振り回し易くなりました。
でも、 ランチ高度を測定してもらうと五十歩百歩でした (ノ_ё)