■ランチ




なんとかランチが高くならないものか・・ランチについて考えてみました。

注)管理人はランチ高度は高くはありません。悪しからず・・・

 

■ランチ高度測定

<オンボードの高度計>

Winged Shadow社のHow High
Hexpert Systems社のZlog
Lomcovak's Logger  LOLO

私はLOLOを使用していました。ランチ高度・飛行高度がばっちり記録されますが、その場で高度がわからないのと、0点が微妙にずれていく等、精度が?なところがありました。

How HighとZlogはその場で高度が読み取れます。

<レーザー高度計>

Nikon LASER550AS

もともとゴルフ用ですが、対象物の高度と距離、打ち上げ角度が表示されます。

正確に測定できます。

ボタンを押した瞬間に測定しますのでランチの頂点を捉えるのは少し難しく、その後を捉えざるを得ないケースが多いです。

<テレメトリーオンボード高度計>

その昔は考えられませんでしたが今では一般的になったテレメトリー機能。JRさんの
DMSS用高度センサー ”TLS1-ALT ”-->高度と気圧を表示
DMSS専用バリオメーター”TLS1-VRO”-->上記に加え昇降速度(1秒間あたりの上昇率と下降率)を表示・・・つまりサーマルが分かる!!(競技会では使用禁止ですよ!)

4チャンネル受信機に搭載する場合はBATTジャックから二股で分岐させて挿入します。尚基本的に気圧の変化を見ていますので0点が微妙にずれていくのはLOLOなどと同じです。

■第2回 F3K日本選手権

2009年11/7-8 兵庫県神崎郡市川町で開催された第2回F3K日本選手権を見学してきました。日本選手権だけあって、ハイレベルな戦いが繰り広げられました。

で、ランチ高度はというと

皆さん高いのなんの・・・トップフライヤーのランチ高度は55m前後、選手全体のレンジは45-55mでした。

2011.08追記)

昨今は、60m超えランチャーも数多くおられます。 2011F3K世界選手権に参加された方にお聞きすると、日本のトップランチャーであれば、世界にひけをとらないとのお話でした。それから、ヨーロッパでは日本と比べてランチが高く上がるそうです。湿度の関係でしょうか?

2014.04追記)

ランチ高度のレベルは年々上がってきています。最近では70mの記録も耳にします。機体性能(ランチ高度獲得の意識した機体設計が進んだ)のせいもあるでしょう。また競技人口の増加の影響もあると思います。

ランチ高度UPの心得  (2011.9更新)


この記事はランチ高度が上がらない人向けのものです。

ランチ高度が高い方の参考にはならないかもしれません(;^_^A

1)ランチフォームと高度の関係

飛行場でランチの高度競争を行うことがあります。
だれもが経験しますが、どんなにがんばっても
いつもの高度+10メートルというのは不可能です。
運良くサーマルに出会うことができれば+5メートルということもあるでしょう。
通常は測ったように±3メートル位のレンジに入ります。

管理人は、ランチフォームが大きく変わらない限りランチ高度は
大きくは変わらないとの考えています。
つまり、ランチ高度をUPする為にはフォームの改造が必要だということです。

2)ランチは考えている時間はない

ランチフォーム改造を難しくしている点がいくつかあります。

人は考えて筋肉を動かしているわけではありません。
わずか1〜2秒の間にたくさんの筋肉を同時に、しかも回転しながら動かしているのですから
考えようと思っても、考えている時間はありません。

ランチの際に考えられるのは、くるっと回って腕を振って思い切り投げるというくらいで、
あとは脳が自動的にどの筋肉をコントロールしています。

言い換えると、考えても動かし方をうまく改造できるとは限らないということです。
また、筋肉の使い方は言葉で表現することができないので
他人と話し合ったり人に伝えたりすることも難しいです。

次に問題となる点は自分のフォームを自分で見る事が出来ない点です。
脳が自動的にどの筋肉をコントロールしてしまうだけでも手に負えないのですが
その結果を自分で見る事さえできないと言うのですから困ったものです。

2)自分のランチフォームを分析する。

前述のとおり、自分のフォームを自分で見る事はできません。

バレエやダンスなら鏡を前に練習できますが、ランチはそういう訳にはいきません。
残された道はビデオ撮影しかありません。

ビデオ撮影した自分のランチフォームを良く観察し、
どのような体の動かし方をしているのかを把握することが大切です。

自分が「このようにランチしているだろう」という思いと、実際の体の動きには
通常は大きなギャップがあります。

そして、お手本とするランチのような体の動きになるようトライしてみます。
あえて違和感のある動かし方をしてみて探ってみる位の姿勢が必要だと思います。

この点を表現する言葉として、”出会い”という単語を使ってみる事にします。

ランチフォームを改造するということは、
まだ出会った事がない体の動かし方を探す事と言えます。

それから、飛行場のメンバーのアドバイスをもらうのも良いでしょう。
ただこの場合、適切なアドバイスが返ってくる場合と、
的を外れたアドバイスが返ってくる場合があります。
残念ながらその場でそれを判断するのは難しいです・・・

3)フォーム改造

お手本フォームと自分のフォームを比べながら矯正を行います。
思い切って(あえて違和感のある動かし方をして)体の使い方を変えてみます。

ビデオ撮影によりどれがお手本フォームに近いか色々試してみましょう。
ダメ元の精神でいろいろやってみると良いと思います。

4)「正射必中」の精神

フォーム改造中は違和感の中で、時にはランチ高度が返って低くなることもあるでしょう。
でも、”急がば回れ”です。ランチ高度に一喜一憂することなく、
効率の良い体の使い方をマスターしましょう。

一時的にランチ高度が下がったからといって元に戻してはいけません。
効率の良い体の使い方をしていれば必ずランチ高度は上がってきます。

 

ランチ高度の変化 (2011.8更新)

経験的に、ランチ高度は投数に比例して序々に高くなるものではありません。

グラフはイメージとして描いたもので、実際の数値ではありません。念の為…

効果的な体の使い方を体得した時に、ランチ高度が飛躍的に高くなります。

経験的にも、ランチ高度は階段状にUPします。

逆に言うと体の使い方を変えない限り、ランチ高度は大きくは変わりません。「高くならないかな〜」と思うだけではダメですね。


ランチフォーム研究

こんものを調達しました。

TAKARA ミクロマン シリーズ 
キャシャーン2004劇場版バージョン
全長約10センチですが、30箇所の関節が可動です。

ちなみに管理人はアニメ版 新造人間キャシャーン(1973)をリアルタイムで見た世代です。

新造人間キャシャーン(1973)はあまりに悲劇的なストーリー・・・子供向けアニメをどうしてここまでシリアスに創ったのか今でもナゾです。

機体はSteigeisen(シュタイク アイゼン)

オフィシャルサイトよりダウンロードした平面図の縮尺がキャシャーンのサイズとぴったりだったので・・・

ちなみに、尾翼もクロステールにしてあります。(いつか実際にやってみたいなー)

 
さてここからが本論、スーパーランチャーのランチビデオを観察し、
ランチフォームの共通点を探ってみました。

 

 

【(1段目)加速ポイント】

加速を開始するポイントを切り出してみました。

後述する【2段目加速ポイント】と区別する為に【1段目加速ポイント】と呼ぶことにします。

体を回転させた後に左足を着地した直後の姿勢で、両肩を結んだライン、腰のラインが機体の打ち出し方向と概ね平行になるポイントです。

50m超えランチャーに共通しているのは、腕の遅れ。上から見て腕が90度以上遅れています。この90度以上というのがポイントです。

ランチの最初に歩く方、走る方がおられますが、どちらが良いか・・は後の研究に譲るとして、とにかくこの体勢にもってくることが大事です。

この体勢は一連の流れの中の1コマなので、 この瞬間だけを作ろうとしてもつくり出せるものではありません(゚ー゚;A

【2段目加速ポイント】

1段目加速ポイントから強烈なスピードで腰を捻り出した後、さらに腕を振り切って2段目の加速を行います。

2段目加速ポイントは両肩を結んだライン、腰のラインが機体の打ち出し方向と概ね直角となるポイントです。

スーパーランチャーの殆どはこの時点で腕はまだ遅れています。”殆ど”と表現したのは、遅れていない場合もまれにあるからです。

@ 1段目加速と2段目加速が分かれているパターン
このパターンが圧倒的に多いです。
A 1段目加速と2段目加速が同時に行われているパターン
このパターンは筋力の十分なランチャーに見られます。

【リリース】

最後に腕を振り切ります。機体は少し遅れてついてきます。

一連の動きをアニメーションにしてみました。

(実際には重心移動を伴います)

※これらの動きは一般的には無意識に行われていると思います


この動き体現されていハードランチャーN氏のムービーです。
キャシャーンモデルで表現している動きを体現されています。

※実際にはなかなかこのマネはできません・・・

ところで、キャシャーンのヘルメットを外すとこのようになります。(厳密には黒髪の部分を外してまるごと取替えます)

ヘルメットがある方が、ランチが上がりそうです
( ̄▽ ̄;)

■3重振り子のモデル化





実際にはない視点なのですが左腰を固定して体の動きをモデル化してみました。

左腰を中心とした3重振り子運動モデルです。

<1段目加速>
腰(緑)の捻り

<2段目加速>
上半身:腕の振り(黄)

<3段目加速>
機体(赤)

の順にうねりが伝わり、むちのように加速されて機体を発航します。

実際には2段目と3段目の加速は並行した動きとなっています。

この3重振り子を”しなやか”にかつ”力強く”加速させるてることで高高度が獲得できるはずです。
 

■ランチ力の源 (2010.1更新)


前項では腕の位置を中心に記載してきましたが
ランチパワーを生み出すのは体重移動と腰の回転です。

経験的に1段目加速ポイントに入るまでは腕の位置を意識することが重要ですが、
1段目加速ポイント以降は腰の回転を意識することで良い結果が得られると思います。

さて、こうした動きを他のスポーツを参考にキャプチャーしてみました。
 

 
M選手のスイングです。

テイクバックと共に右足を上げた時点(右写真)では左足に全体重が乗っています。
インパクト(左写真)では右足に体重移動されており、この間に腰をスピンさせています。
インパクトの瞬間は重心が軸足よりかなり手前にあります。


 


プロゴルファー I選手のスイングです。

テイクバック(左写真)では右足(正確には右腰あたり)に重心があります。
インパクト(右写真)では左足に体重移動されており、この間に腰をスピンさせています。
※ゴルフでは腰の回転を意識するために「右ポケットで打つ」と例えられるようです。

ゴルフのスイングもバッティング同様にインパクトの瞬間の重心は軸足より手前にあります。
 


I選手のインパクトの瞬間の写真です。 M選手のそれとはかなり違うのがよく分かります。ゴルフのI選手と両足の運びや体のしなり具合に共通点が多いのは興味深いところです。棒を振り回す為の効率的な体の運びというのがあるのでしょう。

ランチにおけるリリース時の体の運び方として参考にすべきところがあると思います。

 

ランチでは助走(歩)があるのでリリースの瞬間、軸足と重心位置は近い関係になります。

下の写真のようになり、リリースの瞬間に軸足と重心が重なってしまうと、踏ん張れないので力が入りません。

 

■参考書 (2014.4更新)

 

ランチフォームの研究に役立つ参考書をご紹介します。

バッティング本
ピッチング本

少々無理な理論も見受けられますが、体の使い方を考える
きっかけにはなると思います。

どちらか1冊といえば、ピッチングの方をお買い求め下さい。(管理人は2冊共読みました)

特に、運動や球技が苦手という方には良いと思います。

そこそこ高い方は、読んだからといってランチ高度が上がるとは限りません(;^_^A

 

■スーパーランチムービー (2011.9更新)

 
世界のスーパーランチャーの動きを見てみましょう。
(500so5450 さん提供のムービーです。この場をお借りしてお礼申し上げます)
2011F3K世界選手権のランチコンテスト(非公式)のムービーです。

こちらは日本屈指のハードランチャー A氏


続いて、ワールドランチャー



続いて有名なオーストリアのGolka青年。日本人にはない長い手足としなやかな体の持ち主。

次のGolka青年のムービーもとても有名です。

ランチも凄いですが、飛行場の環境も雄大です。

同じSteigeisenを駆る青年を見つけました。
上のムービーと同じようなランチフォームです。
(同一人物かと思うほどですが、上のムービーと比べると別人です)


これらの世界レベルのランチには共通した特徴があるのがお分かり頂けると思います。

下半身の強烈ひねり、そして長い腕がムチのようにしなやかについて来ます。

なかなかマネできないですが、イメージをしっかり頭に焼き付けておくと良いでしょう。


■ビデオ撮影

自分のランチフォームをビデオ撮りしてコマ送りで確認することをお勧めします。

管理人は安物の3脚にムービー付デシカメをセット(写真参照)し、ムービーを撮りっ放しにしてランチをし、後でチェックするようにしています。

撮りっ放したムービーは編集ソフトでランチ部分のみ切り出します。

管理人は「DVD movie writer3」を使用しています。このソフトを用いランチ部分のみ切り出して”mov”もしくは”mp4”でエクスポートします。(再生ソフトはいろいろ試しましたが”クイックタイム”がお勧めなので)

”クイックタイム”の特徴はスライドバーをドラッグすることで部分再生、逆再生、コマ送りなど自由自在に再生できます。

ランチは3秒位です。この長さに切り出せばスライドバーをつかんで、コマ送り、逆コマ送りなどもできます。

1段目・2段目加速ポイントでの姿勢や打ち出し方向、体重移動などを分析し、傾向と対策をたてましょう。

<ビデオをコマ送りして、チェックするポイント>

左足が着地して、スイングに入る瞬間・・・ここがここが1段目加速ポイント。

右腕の位置(又は、機体の向いている方向)を確認します。

腕が90度以上遅れているか、もしくは機体が真後ろ方向を向いているか をチェックします。


■(ヒント)弓道の教え (2011.9更新)


先に、「正射必中」の精神について記載しましたが、
もうひとつ参考にすべき部分がありますので 紹介します。

弓道の一連の体の運びは八つに区分されています。

第1節) 足踏み
第2節) 胴造り
第3節) 弓構え
第4節) 打越し
第5節) 引分け
第6節) 会  
第7節) 離れ 
第8節) 残身 

これらは「射法八節」と呼ばれており、小山弓具店さんのサイトで写真が紹介されています。

 

第6節) 会(かい)
第7節) 離れ

的中する為には良い 第7節)離れ が必要です。
その為には第7節のひとつ前の第6節)会が重要なことは容易に理解できます。
一連の体の運びには因果関係があるということです。

同様に遡っていくと
第1節)足踏みから注意していかないと 良い第7節)離れに至らないと教えられています。

少々話が回りくどくなりましたが、
一連の体の運びにはその前、そしてその前の動きとの因果関係がある
ということを頭においてランチフォームの改造に取組むのも効果的です。

直したいポイントがあったら、その前の体の運びを変えてみるのも重要と考えます。

 

■(ヒント)腕の高さ

1段目加速ポイントで上から見て腕が90度以上遅れることが重要と記載しましたが、腕の高さ(肩と拳の関係)が大きく影響します。

左の写真は拳の高さが肩の高さに近いですね。肩と拳がこの関係にあると腕はわずかにしか遅らせることができません。

拳の高さを低くしてやることで腕を90度近く遅らせることができるようになります。

■(ヒント)翼面の軌跡

2段目加速での翼面の軌跡は写真のように側面から見るとかなり迎え角のついた角度で打ち出しているケースが多いようです。

写真上)右翼端が地面にいちばん近いポイント。
右翼端の高さはひざ位の高さが一番多いようです。
(かなりばらつきがあります)

写真下)リリースポイントは概ね肩の高さ。

個人差がありますので参考までに・・・

余談ですが、モデルのキャシャーンは体の間接が30箇所も動くのですが、さすがに指の間接は動きませんので、指の動きにあわせて手首ごと取替えます。

■視点を変えて・・・

 
<円盤投げ>
ランチに近い動きをするスポーツと言えば円盤投げ。
回転運動を物体に伝え、リリースの瞬間の初速をいかに早くするかという観点ではDLGと共通です。


円盤投げの規格・・・サークルの直径は2.5メートル、
円盤の重さは一般男子:2kg 一般女子:1kg  世界記録は74.08m(1986)。

マッチョな選手ばかりが出てきます。やはり、筋力がものをいうようです。
それから、長身で手が長い選手の方が回転半径が大きくて有利です。

ビデオの中で、スローモーションから静止画像が押さえられていますが、
体(腰)のひねりと腕のため(遅れ)による回転の動きが見られます。

DLGとの相違点は節点(せってん)が1つ多いこと。円盤投げは円盤を直接手で掴んでいますが
DLGは翼端ペグが支点となり、機体の重心は75センチ離れています。
機体は腕よりさらに遅れて回転します。

もう一点。円盤投げは円盤の揚力を利用する為に、25度〜35度の迎え角で投げ出しますので
「跳ね上がる」動きのフィニッシュをしています。
DLGでは迎え角は機体でセットができますので 「跳ね上がる」必要はなく、
いかに機体にエネルギーを乗せて フィニッシュするか・・が重要です。

注意深く観察するとゴルフやバッティングと同様、インパクトの瞬間は
軸足より重心が手前にありますので確認してみてください。

 

 
<ハンマー投げ>

室伏選手でおなじみのハンマー投げ。ハンマーはその昔は柄の付いた「ハンマー」だったそうです。
ハンマーのグリップから砲丸まで約1.2mあります。
ハンマー投げの規格・・・サークルの直径は2.135メートル、
ハンマーの重さは一般男子:7.26kg 一般女子:4.00kg  世界記録は86.74m(1986)。
( 円盤投げと同じく、世界記録が20年以上も前!)

回転の方法がDLGとは異なるのですが、室伏選手が編み出した「倒れ込み」は参考になるかも・・

http://www.tbs.co.jp/newsbird/lineup/tsukio/dr_tsukio20070824.html