■ 太陽光発電のしくみ 2015/7 加筆





2011年の東日本大震災、そして原発事故を受けてエネルギーについて
今まで以上に考えさせられることになりました。

管理人は元々、太陽光発電システムには興味があったのですが
費用の件もあってなかなか踏み切れずにいました。
しかし、2011年になって太陽光発電システムの価格が急激に下がってきたのと電力不足
なのをきっかけに購入することにしました。

■太陽光発電とは

太陽光発電システムは太陽電池を利用した発電システムです。
太陽電池は無限に降り注ぐ太陽光をを電気エネルギーに変換してくれます。

<↓↓光が当たるだけで電気が出来ます>

さて、その太陽光発電システムですが
太陽光を元にしますので、昼間しか発電しません。

夜間は電力会社の電力を購入します。
昼間は発電した電力から自家消費分を差引いた余剰電力を売電します。

一般に昼間の使用電力は少ないのですが、逆にそれがメリットにもなります。
なぜかというと、今は買電約24円/kwhに対して売電30円/kwh以上だからです。
従って、使うより売ったほうがお得ということになります。

これをグラフにすると次のようになります。


<出典: 太陽光発電協会 HP>

太陽光発電システムの設置は屋根上の作業なので慣れていないと危険なのと、
電気工事については免許が必要ですので DIYはできません。

いろいろと検討した上で
今回は某リフォーム会社に注文しました。

 

■太陽光発電の買取金額など


太陽光発電システムの普及は、今や国の政策となっています。

これを促進するためのバックアップがあります。

【補助金制度】

システム価格の低下に伴い、国の補助金制度は2014年に廃止になりました。

しかし地方自治体によっては補助金制度が続いていますので確認してみてください。

(支給されるエリアにお住まいの方はラッキーですね。)

地方自治体補助金は次のHPから検索できます。

太陽生活ドットコム : http://taiyoseikatsu.com/

環境ビジネスJP : http://www.kankyo-business.jp/


【余剰電力の買取制度】

2009年11月より新たな買取制度がスタートしました。
10kw未満の住宅用システムの場合

2010年度: 48円/kwh(10年間固定)
2011年度: 42円/kwh(10年間固定)
2012年度: 42円/kwh(10年間固定)

ポイントは買電価格(約24円/kwh)より高い点。
使うより売った方がお得ということで、節電も同時に進めていこうという考えが背景にあります。

さらに2012年7月より全量買取を含めた新たな制度に移行しました。
2012年7月以降は「余剰買取」と「全量買取」の両方に対応した制度です。

【全量制度】

全量買取制度は太陽光発電による電力の買取制度としては画期的なものとなりました。

以前は「余剰」電力つまり、使用した「余り」を買い取るものです。
即ち自家消費していることが前提となります。

全量買取制度は自家消費する必要がありませんので「事業」としての発電が可能になった訳です。

全量買取を行う為には発電施設の容量が10kw以上である必要があります。
一般家庭の屋根の上には難しいです。

10kwを設置しようとすると大き目のアパート程度の屋根の面積が必要です。

全量買取では、事業者の採算性を考慮して固定買取期間は20年間と、長く設定されました。
これは事業者に非常に有利で、爆発的に普及する要因のひとつとなりました。

【新制度の問題点】

太陽光発電の普及を図るために買取価格も含め事業者に有利な制度となりました。
このため権利のみを転売する業者が 膨大な容量の申請を行う結果となりました。

これにより、申請した全ての発電所が稼した場合、
・送電網の容量がパンク
・発電が多すぎて使いきれない
可能性が浮上して、
2015年以降は制度が少し厳しくなりました。

【2015年度の買取価格】

上記の発電が多すぎて使いきれないことへの対策として、電力会社が無条件に買取を
拒否できる制度になりました。(これを「出力抑制」といいます)
但し容量に余裕が無いエリアを除き、当面50kw未満の小規模な施設は対象外となりました。

※容量に余裕が無いエリア:北海道電力・東北電力・北陸電力・中国電力・四国電力・九州電力・沖縄電力

<余剰買取>

33円/kwh(10年間固定)

但し、
容量に余裕が無いエリアでは「出力抑制」の可能性を伴うために35円/kwh(10年間固定)と、少し高めに設定されています。
上記以外のエリアでは「出力抑制」はありません。

<全量買取>

27円/kwh(20年間固定)

全量買取ではその他に細かい条件がありますが、当サイトでは住宅用の太陽光発電システムを
対象に考えている関係上、省略させて頂きます。

 

■太陽電池の材料


太陽電池には大きく分けて4種類あります。

種類
特徴
備考
単結晶シリコン 高純度のシリコンを使用するので発電効率が高い(比較的高価) 色が黒いケースが多い。黒い屋根材に馴染む。
多結晶シリコン シリコンの純度が単結晶より落ちるので、安価だが面積あたりの発電効率が劣る 一般に青っぽく、多結晶独特の柄がある。最近は黒いのもある。
薄膜シリコン シリコンの薄膜をガラス基盤などの蒸着させるので低コストだが、発電効率はかなり低い。 電卓の太陽電池がコレ。
化合物系 まだ、開発途上で発電効率があがっていない。 あまり見かけません。

日本国内ではいつのまにか”単結晶シリコン”が優れているというのが定説なりましたが
管理人は必ずしもそうではないと考えています。

<単結晶シリコンのメリット>

面積あたりの発電効率が高い。

住宅用に搭載する場合、屋根面積が限られています。
一般に太陽光発電を設置するのであれば
資金の許す限りたくさん載せた方が資金回収期間が短くなります。
限られた屋根面積での多く発電を稼ぐには単結晶シリコンが適しているということです。

<多結晶のメリット>

多結晶は価格が比較的安いのがメリット。

たとえば単結晶のパネルと多結晶のパネルで両方とも250Wだとすれば
発電量は同じと言って問題ありません。

すなわち、出力が同じなら単結晶と多結晶の変わりはないと言うことです。

では何が違うかと言うと大きさです。同じ出力の場合、多結晶の方が大きくなります。

<パナソニックのHITモジュール>

パナソニックのHITモジュールは単結晶とアモルファスのハイブリッド。
元はというと三洋電機の開発した技術ですが企業買収により今はパナソニックブランドになっています。

このモジュールは温度による影響が少ない(夏に効率が落ちない)のが特徴で
上記の2種類とは違った特性を持っています。(
同じ出力でも年間発電量が多い)

でもパナソニックのモジュールは価格が少し高いです・・

<で、結論は?>

コストパフォーマンス(投資回収)という面では多結晶がベストです。但し設置面積が広くなります。
小さい屋根では十分な容量が載せられないかもしれません。

屋根面積が小さい場合は単結晶やHITモジュールも検討して
ベターな選択をするとよいでしょう。

でも、住宅用では殆どが単結晶で、多結晶はあまり見かけないのが現実です。

 

■太陽電池について

【セル】

太陽電池の最小単位。1セルでだいたい0.5〜0.7Vです。シリコンの結晶そのままでは非常にもろく、壊れ易いのでモジュールで強化ガラスに貼り付けます。

【モジュール】

セルを数十枚直列につないだもの。写真のものは8列x12列=96セルの構成。1セルが約0.6Vとすると最大電圧は約58Vとなります。

セルの数は統一規格がある訳ではなく、メーカーや型番によって異なります。

【ストリング】

モジュールを4枚〜6枚を直列して1回路を構成します。これをストリングと呼びます。写真は6枚のストリングです。

 

 

【モジュール出力について】

太陽光発電の出力はモジュールの最大出力で表します。

モジュールのサイズは業界で統一されている訳ではありません。
また、 セルの数がメーカーや型番によって異なります。

サイズやセルの数が違うのを比べるのは変な話ではあるのですが、それが一般化しています。
1枚のモジュールの出力は190Wとか、210Wとかと表示されます。

この190Wとかの表示は工場のラインにおいて
基準条件(エアマス1.5、日射強度1kW/u、モジュール温度25℃)の条件で
測定する出力のことです。

※エアマス1.5は陽光が垂直に大気に入射する単位1として、その1.5倍。
※1kW/uは、日本における快晴の夏の南中時の太陽光エネルギーに相当
※ソーラーパネルの出力は温度により変化します。(温度が1℃あがると0.3〜0.5%程度効率が下がる)

従って、実際には最大出力を得ることはできません。

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余談ですが、高度に管理された最新の工場で生産される太陽電池セルですが
その出力は1枚1枚微妙に異なります。

この出力の異なるセルを公称出力のW数となるように数十枚組み合わせてモジュールを構成します。
従って、1枚1枚のモジュールの出力は異なっています。

例えば写真は公称190Wパネル。上のは191.5W、下のは193.9Wです。



【太陽光発電システム出力について】

さて、実際に住宅に太陽光発電システムとして設置する場合のシステム出力は
モジュールの最大出力に設置枚数を掛けた数値で呼びます。

以前は、3kw程度のシステムが一般的でしたが
最近は4〜5kwを搭載するケースが増えています。

16枚だと3.04kw、24枚だと4.56kwとなります。

モジュール
枚数
出力
       
       
       
       
16枚
190x16=3040W=3.04kw
       
       
       
       
       
       
24枚
190x24=4560W=4.56kw

例えば24枚を設置する場合、屋根形状によって下図のような配置になります。

切妻屋根の場合の配置例

寄棟屋根の場合の配置例

寄棟屋根の場合は東西面に振り分けての設置になります。
同じ4.56kwのシステムでも発電効率は下がります。

我が家はこのようなレイアウトです。(上が北)

建物形状の関係で西面:6枚、南面:6枚、西面:12枚の配置です。
本来は南面に一番多く配置するべきなんですが東西面におおくなりました。

 

■太陽光発電の設置条件
太陽光発電システムの発電量は設置条件によって大きく異なります。主なポイントをまとめてみました。

【方角】

いわゆる”日当たりの良さ”に比例します。南面を100%とすると東/西は85%。
北面も意外と65%も発電するのですが、北側隣家から”眩しい” とのクレームが出る可能性も高く、基本的に北面への設置は避けてください。

【屋根勾配】

屋根勾配も発電効率に影響します。大阪〜東京であれば30度前後がベストですが、±10度程度なら殆ど影響はありません(2%低下)
北海道は35度前後、沖縄は20度前後がベスト。
屋根勾配は”4寸”などのように”寸”で表示します。ご自宅の図面をお持ちの方は図面のどこかに記載されています。

屋根勾配
角度
4寸
約22度
4寸5分
約24度
6寸
約31度

【影】

樹木の陰はもちろんですが、電信柱や屋根のアンテナ(特にパラボラアンテナ)も影響します。

影が小さくても電圧低下につながるため、効率面では致命的になる場合もありますので、影はあってはならないと考えた方が良いです。

【天候】

曇りの日は晴れの日と比べると半分以下となります。
雨の日は晴れの日と比べると1/5〜1/10程度となります。

6月は梅雨で晴れの日が少ないので月間の発電量は少なくなります。
5月は晴れの日が多いので1年で最も発電量が大きくなります。

【地域】

一般に南の方が日照時間が長いので発電量は多いのですが、それに加え、晴れの日(曇りの日)の多さも大きく影響します。メーカーには都道府県別のデータが準備されていますので販売店でシミュレーションをしてもらう際にはこれらのデータが加味されます。


これらの基礎情報を元に ソーラーパネルのメーカーが詳細なシミュレーションをしてくれます。
我が家の場合は下のようなグラフとなりました。

夏は冬に比べて日照時間が長いですよね。ですから夏場の発電が多い。
でも発電量が一番多いのは5月。これは晴れの日が多い為だそうです。
7月、8月はモジュールが高温になるので効率が下がります。

数値情報は次に示します。

「PV」とはPhotovoltaic( power generation)=太陽光発電の略

PV電圧が一番高いのは1月
PV温度が一番高いのは8月
PV効率が一番良いのは2月
PV電流が一番大きいのは5月

年間総発電量は4637.64kwhとはじき出されました。

 

■太陽光発電のロス

 

太陽光発電システムは太陽光を直流電力に変えて、さらに交流電力に変えて使う上で、損失が発生してしまいます。

項目
損失
モジュールのガラスの汚れ
接続箱の逆流防止ダイオード
配線
▲5%
太陽電池の温度上昇
(温度が1℃あがると
0.3〜0.5%程度効率が下がる)
夏は▲15%
パワコン
▲5%
合計
▲25%

さらに、真南に全てのモジュールを設置できるケースも少ないので東西面にも設置したとすると

項目
損失
上記の損失
▲25%
1/2を東面、西面に設置
▲7.5%
合計
▲32.5%

結局、太陽が真南に来る一番良い状態でも70%位しか期待できないということです。
これはそういうものとして受け入れるしかありません。

 

■kw(キロワット)単価

 

太陽光発電システムを設置するにあたって、どの位の規模にしたら良いかです。
もちろん資金が一番大きな要素になるのですが、それ以外の面からの検討です。

【kw(キロワット)単価】

各メーカーや各会社の見積もりを比較する場合にkw(キロワット)単価
での比較をお勧めします。

これは簡単に

総価格÷出力(kw)で計算できます。

考え方は非常にシンプルで

単純にkw(キロワット)単価が安いシステムが資金回収が早いと言うことになります。

複雑な説明は割愛して、システム1kwから生まれる電気量はどの会社のものでも同じです(HITは除く)、

先程も記載しましたが、どうせ設置するならなるべく多く搭載した方がメリットがあります。


これは、足場費用・ 職人の費用(設置工事・電気工事)がシステム規模にあまり影響されないからです。
(料金体系は業者により異なる場合がありますので業者見積で科買う人してください)