■ 木質材料( エンジニアードウッド)


技術の発達により、木材の欠点をカバーする方法が考え出されました。それらは総称して「木質材料」と呼ばれています。最近は「エンジニアードウッド」ともよばれており、こちらの方がなんとなくイメージしやすいのでここではエンジニアードウッドと呼ぶこととします。(エンジニアリングウッドという言葉もあり、ほぼ同義語と解釈してよいと思います)

天然木をそのままで使うと、狂いがあったり、美観上問題となる節がでてきたりしますので選別して使う必要があります。

上級なものを求めようとすると、コスト的に非常に高くつきます。また幅や長さにも制限がでてきます。特に幅が広い板をとろうとすると、樹齢数百年といった木を切る必要がありますが、幅の小さい木を接着剤でくっつけてやれば幅が広い板も容易につくることができます。

「エンジニアードウッド」は、木材を一旦、単板・小片・繊維などに細分化し、接着剤を用いてもう一度構成したものです。


 
[エンジニアードウッドの名前]
[構成要素の名前]
構成要素が大きい
(1)集成材 ラミナ
(2)合板 ベニア
  (3)OSB ストランド
(4)パーティクルボード パーティクル
構成要素が小さい
(5)ファイバーボード ファイバー

 
■エンジニアードウッド いろいろ
(1)集成材

「集成材」はダイニングテーブルなどでよく目にするアレです。

だいたい3cm〜5cmの木をくっつけてつくります。構成要素であるひとつひとつの木をラミナといいます。

反り、狂いが少なく、日曜大工には最適です。

(2)合板

「合板」はポピュラーなので説明の必要はないかと思いますが、念の為。

合板は木材を薄くむいた単板(ベニア)を何枚か積み重ねて接着剤で貼り合わせたものです。単板は、ちょうど大根をむくように木材をむいていきます(こうしてできた単板をロータリー単板といいます)。例えば、単板が5層であれば、5プライ合板といいます。上の写真は7プライです。通常、プライ数は奇数です。

普通は単板の繊維方向を1枚ごとに直交させ、プライ数が奇数になるようにします。これは強度・収縮に関する「異方性」を減少させるためです。

(3)OSB(オリエンテッド・ストランド・ボード)

ストランドと呼ばれる木材の小片を成形したもので、主に北米で合板の代替品として使われています。

良く似た材料にウェハーボードがあります。オリエンテッドとは、配交の意味で、細長いストランドを無作為にくっつけるのではなく、方向性をもたせてくっつけることで強度をより強くしています。

(4)パーティクルボード

「パーティクルボード」は「パーティクル」と呼ばれる木材の小片を圧縮して接着剤でくっつけたものです。

集成材や合板と異なり、構成単位が小さい為、製品にならない様な木材も使用することができます。従って、原材料が非常に安価ですので、製品としても比較的安価です。(廃材なども使用できるリサイクル素材です。とはいってもまだ回収コストや、異物の選別などで、かえって高くつく様です)通販家具の厚みのある板は通常はこのパーティクルボードにシート等を貼ったものです。水に弱いので湿気の多いところでの使用は避けたほうがよいです。(湿気を吸って膨張します)

(5)ファイバーボード

「ファイバーボード」は名前が示すとおり、木材を繊維まで細分化してそれを圧縮して接着剤でくっつけたものです。圧縮度合い(比重)によって、次の3種類に分類されています。
MDFは、ホームセンターでみかけるようになりましたが、それ以外の材料は一般に目にする機会は少ないです。

正式名称
一般名
比重
用途
硬質繊維板 ハードボード
0.8以上
オジさん方には、昔テレビの裏側につかわれていた網目の茶色い板といえばお分かりと思います。若い方には何と説明したらよいか・・・
中質繊維板 MDF
0.4〜0.8
ドア枠などの建築材料の心材としてつかわれています。一般にお目にかかることはあまりありません。
軟質繊維板 インシュレーションボード
0.4未満
畳床(畳の心材)として藁の替わりによくつかわれています。(ダニなどがわかないのがメリットです)

 
(5-1)ハードボード(硬質繊維板)更新2004.11

左が表、右が裏面です。
昔のテレビやラジオの裏板では圧倒的でしたが、それ以外でも、型にはめれば3次元曲面の成型が可能な特性を生かして、昭和50年代位までは車の内装パネルは殆どハードボードでした。
( 最近はすっかり見掛けなくなりました。)

(5-2MDF(中質繊維板)

「MDF」は日本語では中質繊維板ですが、通称はMDF(Midium density fiberboardの頭文字)エムディーエフです。厚さは3ミリ位から、30ミリ位まであります。

上の写真は15ミリの板を2枚貼り合わせてあります。「MDF」は繊維まで細分化したものを再構築していますので「パーティクルボード」に比べて、きめが細かく、つるつるしています。従って、木目調シートなどを貼る際の下地材として使われています。通販家具などの化粧部分もMDFがよくつかわれています。

 

左の写真は3ミリの材料ですが、上の茶色い方が広葉樹、下の白い方が針葉樹の繊維からつくられたものです。

(5-3)インシュレーションボード(軟質繊維板)

「インシュレーションボード」はMDFと比べて圧縮率が少なくかなり柔らかい材料です。日常はあまりお目にかかることはありませんが、藁に替わる畳の心材として使用されています。

ハードボードやMDFは繊維を接着剤で固めてつくりますが、インシュレーションボードは接着剤を用いずに圧縮で成型します。