■軽量直貼りDLG機「Black Magic custom」の製作 その1





Black Magic custom の製作


 

SuperGeeIIは自分なりに満足する機体となりましたが、一人で飛ばしていると上達にも限界があり、行き詰まってしまいました。

というか、ランチ高度はどう頑張っても30mどまり。サーマルにもたまに乗るには乗りますが飛行技術も上達しない。
機体も修理などでどんどん重くなっていくし・・・

で、mini SALに新しい楽しみを見いだそうとネットでいろいろと調べていて「RC飛行機製作日記」さんのminiSALの記事に
たどり着きました。よくよく見ると、有名な淀川のHさんのページでした。それで連絡させて頂いているうちに
一度、お邪魔させて頂く事になり、そこから新しい道が開かれることになった次第です。


■淀川滑空班さん訪問

2008年9月某日、淀川滑空班さんを訪問させて頂きました。

この日はHさん、Oさん、Nさん親子が飛ばしておられ、皆さんから親切に迎えて頂きました。

それから数回、お邪魔するうちにHさん(師匠)よりアドバイスを頂き、自分のSALスタイルが大きく変わることになりました。

淀川滑空班の皆さんが飛ばす機体は200〜220g。そしてパワーランチに耐えられる高剛性。これがスタンダードだということを知りました。それらの機体の浮き(飛行特性)は明らかに私の機体とは違うものであり、衝撃を受けました。

私のSuperGeeIIは重量270g。主翼の剛性はなんとか合格しているものの、フライングテールの尾翼は問題ありという評価。

私のランチでは問題ないのですけど・・

それから、極めつけはH師匠のBlackMagic(予備機です)のランチや操縦をさせて頂いた事で、私の機体がもはや旧世代のものであることが駄目押しされたのでした。

回したときも機速がおちたときも、高度低下が殆ど無く、まるで重力がなくなったような浮きでした。

で、次世代の機体に取組む決心がつきました。

■SuperGeeIIの改善

新しい機体が完成するまで、SuperGeeを改良して飛ばすことに。
ランチパワーが上がってくるとまずはランチ時にフライングテール方式の水平尾翼が破壊しました。具体的には
・ ステーの剛性不足
・ ヒンジ部分のパイプと軸の微妙なガタ
直付けの尾翼に作り直しです。 最近は直付けの方が主流のようです。

それから、簡単に作るために、垂直・水平尾翼は2ミリバルサを使用していました。また、この方が空気抵抗が少ないだろうと考えていたのですが、板翼ではランチ時に空気が剥がれてしまい、かえって抵抗が大きいとの話を聞いて、翼型翼に作り直し。

同時に修理で重くなっていた尾翼をシェイプアップ。これで5gの軽量化。

翼端のフラッターが発生しましたので翼端を5ミリ程度落としました。

これは結構効き目があって、フラッターが解消されました。(翼端の空気抵抗も減少するようです)

私の機体は280g近くあり、これは致命的です。

バッテリーはメンテナンスが楽なCR2を使用していましたがこれがスイッチやコネクター含んで25g。

軽量化の為、1S 400mAh(11g)リポにこれで14gの軽量化。

これで253gになりましたが、ノーズに5g程度のバラストを積みましたので、最終的には260g程度になりました。

でも、220〜230gの機体と比べると全然重いです。

■新しい機体のプラン


いよいよSuperGeeに見切りを付けて、あの異次元な飛びを実現すべく新作機に取組むことにしました。

新作機のプランについてあれやこれや悩んでいたのですが、H師匠の工房を訪問し、いろいろと相談しているうちに、
BlackMagic秘伝?の主翼翼型、及び平面型を伝授いただけることになりました。ヽ(*^^*)ノ
それから、その他にも機体製作に関わるいろいろな情報を頂きました。(H師匠に感謝)
機体重量はできるだけ軽く(220g目標)、有害抵抗を極限までなくす策を考えながら製作に入ります。

機体
メカ
主翼
120g-α
サーボ+サーボベッド
20+2g
尾翼+台座
12g+1g
受信機
7g
ブーム
15g
バッテリー
12g
ポッド+主翼取付部
22g+5g
リンケージ
6g
その他
3g
その他
3g
小計
178g
小計
50g
合計
228g

この表からすると228g。220g実現の為にはこの表から8gの減量が必要。これは作りながら対処していくことにします。
とにかく、ひとつひとつのパーツを上の表以下に抑えることに集中してみます。
 

H師匠の工房を訪れると、四方から作業できる作業台を使用されていてとても便利なことに気付きました。

それで、私も四方から作業できる作業台を準備しました。といっても、以前取り外したテーブル脚と余っていた天板をくっつけただけです。
(サイズは450ミリx900ミリ。)
写真のように巾1mのカーボンの巻物を広げて作業ができます。

今まで作業していたテーブルと併用することで、作業性があがると思います。

秘伝?の主翼コア。

BlackMagicではいくつかの翼型を試されていますが、私にはオールラウンドタイプの翼型を薦めていただきました。

指定の翼型で専門の方にCNCでカットしてもらったものです。

それから、主翼平面型の型紙を頂きました。(H師匠ありがとうございました。)

平面型はSuperGeeに近い形状です。

軽量化の為にハイアスペクト比に(翼根部の翼弦長を短く)すると、確かに軽くは出来ますが、実際の浮きの点では?とのことです。

■尾翼の製作

垂直尾翼はデルタ型の平面型

水平尾翼はAspirinの平面型
http://www.tud-modelltechnik.de/aspirin/technik_en.htm

翼型は適当な形状の対称翼崩れの準対称翼。(対称に作ろうとしましたが準対称になりました(;^_^A

5ミリのスタイロから削りだしましたが、目標重量に近づける為、若干薄くなりました。

バギング前の状態での重量は垂直尾翼:2.2g、水平尾翼:3.0g

補強の為、0.15ミリのカーボンキュアシートを縦に割り込ませています。ヒンジ部分は1.0oz(35g/m2) のアラミドクロスで補強。後からヒンジテープで貼りつけるより軽くできます。

バギング用の型板は R/C Web Shop Kb さんより取り寄せた0.25mm厚のマイラーシート。巾610ミリ。

このフィルム、初めて製作する際には、探しに探しても結局手に入らず、A2サイズのクリアファイル(文房具店で調達)を使用していました。

以前と比べると腰があってしっかりしています。

離型用のブルーワックスを2回塗り込みました。

以前のクリアファイルの場合、再利用できずに使い捨てでしたが、このシートなら再利用も可能です。

で、バギング完了。

バギング中は樹脂でベトベトなのでカメラを持つ気になれません(-_-;)

グラスは0.7oz(25g/m2)のマイクログラス
樹脂は以前に共同購入したAXSON EPOLAM2020

硬化までの間、バッグのカールによって、反りなどの悪影響が出ないか心配です。クラークYで作ったときは、平面を下にして上に重りを載せましたが、今回は準対称なので余計な力を加えずにテーブルの上にバッグを載せてセロテープで伸ばして硬化を待ちます。

今は10月。室温は20度前後。人間にとっては非常に快適な季節ですが、エポキシ樹脂の硬化には少し温度が足らないと思い、ホットカーペットで硬化促進。

といっても形の崩れや泡立ちを防ぐ為、常温硬化で24h待ち、形が定まった後ホットカーペットに挟んで24h。節電と温度確保の為に、乱暴ですがスタイロに挟んで熱が逃げないようにしました。

しかもホットカーペットは折り畳んで使用しているので少々危険かも。

48h後に離型。きれいにできました。重量5.3g。

水平尾翼は6.8g。

今までで一番きれいに出来ましたが、残念ながら重量オーバー。クロスの樹脂は絞ったのですが、調子に乗ってコアに樹脂を乗せすぎました。また、カーボンの補強スパーを入れる際エポキシ接着剤をたっぷり塗ってしまったのもNGでした。

作り直すことにします。

<尾翼2枚目>

で、気を取り直して再製作。バギング前が2.6g、完成重量6.2gこれなら合格です。(でも美しさでは1枚目の方がキレイ)

垂直尾翼+水平尾翼で12gが目標のところ、今回は垂直尾翼+水平尾翼で11.5gですので、これに補強板やホーンを付けると全備重量はちょうど12g位になると思います。

思い立って・・というよりは、最近目が悪くなって、機体が見えにくいので、蛍光イエロースプレーを吹いてみました。

で、はみ出した塗料をアセトンで拭き取ったところ、悲劇が起きました。アセトンがコアを溶かしてしまったのです。冷静に考えると樹脂とクロスは全面を覆っているわけではなく、表面は孔だらけですので当たり前の結果ですけど・・

機体の組立て最終段階に入っていたのでショック大ですが、作り直す以外に答えはありません。

♪幸せは歩いてこない〜だから歩いていくんだよ〜1日1歩、3日で3歩、3歩進んで2歩下がる〜♪ ハイ2歩下がりました。

<尾翼3枚目>

3枚目の製作です。

スタイロの色があまりにも青々しいので主翼のアラミドの色に馴染むよう「黄ばみ」を入れることにしました。

東急ハンズの樹脂コーナーでは樹脂に混ぜる染料が販売されています。そこで思いついたのがプリンターの詰め替えインク。

エポキシ5gにプリンター詰替えインクを2滴落としただけで写真のように卵の黄身状態になりました。これでも仕上がりは下の写真のように僅かに黄色くなる程度です。

動翼部の黄色はコアに予め蛍光黄色スプレーを吹いています。

重量を気にしているので、スプレーは少しだけ。

前縁のクロス、ヒンジ部のアラミド、カーボンシート補強、黄色スプレーを吹いた状態の重量2.77g。

写真右が今回の染料入り。この方法は塗布量によりムラがでます:コアに塗る樹脂に同じものを使うとそこだけ濃くなります。なのでインクなしの透明な樹脂を別に準備して、コアに塗る樹脂はそれを使用しました。(芸が細かい!)

インク方式だと、重量が増えないのはいいですが、僅かに黄色くなる程度ですので「着色」するには相当量のインクを混ぜる必要がありそうです。(樹脂混入用の染料は10%位までOKと書いてありましたので5gのエポキシにmax0.5gまでいけそうですが試していませんのでご参考まで)

※動翼部の黄色はコアに予めスプレーを吹いたものです。スプレーは目立って良いですが、重量が気になります。

<垂直尾翼>
トリミング&ヒンジカット後 重量4.97g。

コアの状態で1.9g
前縁のクロス、ヒンジ部のアラミド、カーボンシート補強、黄色スプレーを吹いた バギング前が2.28g
クロスと樹脂の重量2.69g。

<水平尾翼>
トリミング&ヒンジカット後 重量6.12g

コアの状態で2.3g
前縁のクロス、ヒンジ部のアラミド、カーボンシート補強、黄色スプレーを吹いた バギング前が2.77g。
コクロスと樹脂の重量3.35g。

垂直尾翼+水平尾翼で11.09g
2枚目より軽くなりました。
今回は前回の反省を元に、カーボンの補強スパーを入れる際のエポキシ接着剤をごく僅かとし、クロスへの樹脂をこれでもかと言うくらい掻きとりました。また、コアへ置く樹脂も僅かな量に抑えました。

上記の重量を今後の基準にしたいと思います。

完成写真。2枚で11.09g!!

きれいに出来ました。3枚目作り直した甲斐がありました。

■PODの製作

主翼とブームを直付けにすることで軽量化が可能ということで、当初はブームに直付けにするつもりでしたが、メンテナンス性からは、ビス留め方式に軍配か?
でもまだ、直付け案も捨てていません。このPODに直付けする手もあります。

SuperGeeで使用したPODの雄型を活用してPODの製作に取り掛かります。まず胴体を真っ二つにしてバルサを挿入。(かなり滑稽な写真です)主翼前縁から先端までの長さを25ミリ程度伸ばし、255ミリにしました。勿論、後ろが重たくなるのを防ぐ為です。その他あちこちにスクラップバルサを”切った貼った”で改造を加えます。

サンディングの後、サーフェイサー#500で目潰しして概ね形を整えた後、#1000のサーフェイサーで仕上げます。その後、ブルーワックスを数回塗って下地完成です。

今回は反転型を作らず、この雄型に直接カーボンクロスを巻いて、バキューム成形します。そして半硬化時点でカッターで最低限の切開しておき、硬化後に型を取出す方法をとります。(H師匠からの伝授、この方法は工数が半減できます。素晴らしいアイデアです)

PVAを塗った後、(写真撮り忘れました)型に55スプレーを吹き付けます。これに1.0oz(35g/m2) のアラミドクロスを巻きつけます。

重ね部分に77を吹き増して納めます。

次に198g/m2のカーボンクロスに77で巻きつけます。重ねは上面4〜5センチ。カーボンクロスの端部にはマスキングテープを貼っておいて、貼る寸前に余分をカットするとほつれにくいです。

胴の部分にはポリエチレンゴミ袋をテープ状にしてミイラ巻きに。ノーズ部分はゴミ袋をあてて伸ばしながらカバーし、テープで固定します。

半硬化時点(今回は室温20度前後で12時間後)にバッグから取出し、主翼マウント部分と、キャンピーを切り出します。(カッターでサクっと切れます)それから、上面のセンターにはカッターを入れて「背割」を作っておくことで硬化後で取出せるようにします。キャノピー部分の切り出しには0.3ミリのアルミ板で型板を準備しておきました。

このあと、キャノピーを元に戻して元通りにし、マスキングテープで固定し硬化を待ちます。

カーボンクロスは手元にあった目の粗いタイプのクロスを使用しましたが、吉と出るか凶と出るか?

24時間後、いよいよ「脱皮」です。

主翼マウント部分から、へらなどで丁寧に離型させて行きます。

そしてキャノピー部分まで離型できたら主翼マウント部分に指を差込んで雄型をつかみ、少しねじりながら引っこ抜くとスルリと離型できました。(快感です)

※この方法は主翼マウント部後方の口が開いていることが前提。(ブーム取付け部の写真参照)

離型完了。きれいにできあがりました。と言いながら、ミイラ巻きにした跡がしっかりと残っていますのでサンディングで凹凸をならしてからエポキシ樹脂を塗って仕上げることにします。

ブームはMOJO用ブームをR/C Web Shop Kb さんより購入しました。

長さ900ミリで14.6gですから、相当軽いです。
このブームは軽くて、強度も十分、今のところ最も優れているのではないでしょうか。

ブーム取付部。

ブームを付けようとポッドにあてがってみると、ブームと主翼マウントの間が広すぎることが判明。これだと、強度を出す為にかなりの補強が必要で、重くなりそう。どのように納めるか頭を悩ましていましたが、あきらめて作り直すことに。

それから、キャノピーの開口も大きすぎたので小さめに修正することにします。(開口部はかなりの強度低下となります)

<ポッド2個目>

また最初からやり直しです。
ブームと主翼マウントの間が狭まるように雄型の削り出し→サーフェイサー#500→サーフェイサー#1000→ブルーワックス→PVA→1.0oz(35g/m2) のアラミド→2.7oz(92g/m2)のカーボン2重貼り(198gのカーボンクロスが無くなった為)→エポキシ樹脂→バギング

今さらですが・・PVAは巾が大きい筆で塗るときれいに塗れることに気付きました。
(1:1程度に水で薄め、ドライヤーをあてながら何度も筆でなぞりながら乾かします。)

バギング完了しましたが、大失敗!!
失敗 は重なるものです。

2.7oz(92g/m2)のカーボン2重貼り(一部3重貼り)にしたのですが、ところにより樹脂が一番裏のアラミドに達していません・・・樹脂不足です。考えてみれば、 この重ね貼り状態で一気に樹脂を染込まそうという時点で少し無理がありました。 (キャノピーの切り抜き加工をする上で、1層ずつのバギングはできない関係上一気に積層しました)

それだけならまだしも、カーボンクロスにシワがよっています。表層1重だけかと、カッターでそぎ落としてみると、全層がシワ!削った部分に穴があいてしましました(TmT)

198gのカーボンクロスを取り寄せて、また一からやり直しします。

<ポッド3個目>

ポッド3個目の製作です。

この後に及んでまた雄型の手直しをしました。ブーム取付け部をさらにスリムにする為にサンディング。そして主翼マウント部に水平な「受け」ができるように型を変更。

PODの形状は如何様にもなるので、どこまでいっても「これで完璧」という状態にならないです。

思い起こしてみると、この型にサーフェイサーを何十回吹き付けたことでしょう。吹き付けてはサンディング・・気に入らないのでまたサンディングそしてまた吹き付けてサンディング。これを何十回も繰り返してきました。それでもまた手直し。よくも懲りずに・・と自分でもあきれます。

災い転じて・・ではないですが、主翼台座部の形状が主翼になじみ易くなりました。また、形状もスリムになりました。

でも逆R部分のバギングは難しそうです。

198gのカーボンクロスを取り寄せてやりなおし。

いいかげん、成功させないと・・

主翼台座部の逆R部分にはポリエチシートをあてたあと、スポンジをかましてマスキングテープ巻き。

胴の部分にはポリエチレンゴミ袋をテープ状にしてミイラ巻きに。

こんな日に寒波がやってきて今年の最低気温。(1日中10度以下)

樹脂がなかなか硬化しません。コタツにいれて硬化を促進します。

・・・で

3度目の正直!無事バッグからでてきました。

でも、写真撮り忘れました。

いきなりですが、完成後写真。

苦労の甲斐あり!我ながら、よく出来ました。◎

その2に続く