■ 競技用 電動グライダーの製作 その2



■主翼の組立て

主翼を組立てる前に、可能な加工をしておきます。

翼端ピースのサーボベッド。

型紙にあわせてカットします。

コアをほじくり出します。エルロンサーボはハンドランチ機のエルロンに用いるのと同じ9gサーボ。

エルロンサーボは接着固定することにします。主翼剛性を確保する為に穴はサーボの大きさピッタリにあけました。

こちらは、中央ピースのフラップのサーボベッド。

頂き物のウイングサーボ。メーカーは?聞いたことが無いブランドです。

バギング前にサーボコード用の穴を一応あけてありますが、少し細いので拡張します。

以前に入手していた木工用のφ6のロングビットがありましたので電動ドリルに付けて拡大、結構うまくいきました。

この後、反対側から短いビットで穴を拡大し、φ6の貫通穴ができました。

ハードポイントを作ります。

今回はバルサをベースに上端と下端は2ミリ航空ベニアを貼り付けて強化しました。

約2度の上半角をとった台を板で作り、その上に左右の中央翼を載せて左右をエポキシ接着剤で一旦接合します。

長さ50mmのダミーカンザシを内部に嵌め殺したままで接合し、あとで取り出します。

この工程で中央部上半角が決まります。また、後から修正できないので捻れなどがないよう慎重にセットします。

接合部の接着剤が固まったら、予めバルサリブを挿入しておいたところで切り離します。

付けて離して面倒ですが、これでセンターピースができました。

センターピースはこんな感じ。

カンザシはストレートですが、上半角が約2度確保されています。

ウイングボルトの穴をあけた後、皿穴加工をします。

以前に木工用で買い揃えていた皿穴ビットを使用してみました。

皿穴加工の部分がカーボン・エポキシ・合板と固いもので出来ていたので、とてもきれいに皿加工できました。これなら金属の座金を埋め込む必要はありません。

■PODの製作

PODはロストコア方式で製作します。30ミリのスタイロフォームだと2枚張り合わせる必要があります。

2枚のコアを接着する際、接着面にカラースプレーを塗っておくことでセンターラインができますので加工の目安になります。(堀内師匠伝)これがないとシンメトリーな削り出しは難しいです。

荒削りしました。考えて作ったつもりですが、長さが足りない。デザインバランスも悪い  (・・,*)

最初から作り直すのも大変なので輪切りにしてコアを継ぎ足して延長しました。巾を少しスリムにするとバランスが良くなりました。

荒削り(多角形のカット)が完了しました。

#180、#240のサンドペーパーでスムーズな曲面に成形します。

スピンナーに合わせて先端をカットします。この時点でモーター面のダウンスラストをを付けておきます。(少し大きすぎたか?と思いながらも製作続行)

これでコアの準備完了!

コアの成形が終わったら、クロスを貼り付けます。

2.4GHzに対応する為にアラミドで製作する事にします。まず1.7ozアラミドクロスを55スプレー使用して2プライします。

主翼台座部が複雑な形状なので、1枚で貼ろうと欲張らずに前後2枚に分けて貼り付けます。細かい部分はパッチを貼って対応。

続いて200g/m2ガラスクロスを2プライします。200g/m2ガラスクロスは腰が強いので端部には55ではなく77スプレーを使用します。

モーターマウントには2ミリ航空ベニアを貼り付け、ガラスクロスでカバーしておきます。後で困ったことですが、航空ベニアの裏側には樹脂が回り込まないので何か対策が必要です。

1.7ozアラミドと200g/m2ガラスクロスを張り終わったら最後にマイクログラスで巻き込みます。先に貼った200g/m2ガラスクロスは腰が強く、エポキシ樹脂を塗った際にほどけてくることがありますが、マイクログラスで巻き込んでおけば防止できます。

樹脂硬化時の3次元曲面をうまく養生する方法がないかと考え、手元にあった3D機の機体製作用の30倍発泡のEPPを使用してみました。

予め30倍発泡のEPPをPODに沿うようにカットしておきます。EPPをグルッと巻いた際に重ねが出るとそこが浮いてしまいます。少し短めにしておきます。短くて足らない部分には予めPPのクリアファイルを帯状に挟み込んで浮きを防止します。

5052樹脂を塗った後にEPPを巻いてその上から梱包用のストレッチフィルムでグルグル巻きにします。

エポキシ樹脂が硬化しました。

大きな段差等はなくスムーズに仕上がりとなりましたが、表面はザラザラになりました。シワシワになるよりマシですね。

樹脂が完全に硬化する前の程よい時間を狙って、キャノピーのカットを行います。写真のように取り外すのは完全硬化してから。

この後、アセトンを流してスタイロを溶かします。ゲル化したスタイロはかなり気色悪い(かつ、体に悪そう)ですが、それにメゲず、指で根気良く擦りとります。

指が入らない部分はウエスを挿入するなどして除去します。

主翼台座部分は少し浮きがでましたのでクロスを増し張りして補修しました。 補修の際はクロスを5052樹脂で固める必要はなく、低粘度瞬間接着剤で十分です。

※説明は省略しますが、ハッチを載せる”ツバ”の部分はハンドランチグライダーのPOD作成と同じ方法で取り付けました。

補修が終わったら表面の凸凹をラッカーパテで修正します。あらかた滑らかになったら#500のサフェイサー→#1000のサフェーサーで仕上げます。

ブームはUKのHyperFlightより22mm - 9mm x 1m Tapered Carbon Boomを取り寄せました。値段は19.95EUR

長いので送料が高いのなんの。52EUR!! 部品代より高い。

でも付加価値税の還付があったので部品代の2割弱が還付されました。(UKの付加価値税は17%位あるそうです。びっくり。)

リンケージロッドの取り出し部分には大きな穴が必要です。強度的に不安がありますのでカーボンクロスで補強しました。

リンケージは1.8ミリのカーボンロッド+アウターチューブの構成。

予めブームに仕込んでおいてからPODを接着します。

アウターチューブが内部でゴソゴソしないようにスポンジを数箇所にいれて固定します。

ウイングボルトを止めるツメ付ナットを仕込みます。ウイングボルトはM4にしました。

準備ができたらいよいよ接合です。エポキシ接着剤をたっぷり塗って接合します。ブーム側は#600程度のサンドペーパーで表面を荒しておく事を忘れずに。

■フィルム貼り

オラライトを貼ります。まずは水平尾翼から。

カーボン部分が多いので、通気がなく神経質な作業が必要となります。

前縁、後縁共、約2ミリ程度の重なりとなるように正確にカットします。シュリンクしない温度でフィルムの仮付けを行います。この際になるべくシワが出ないようにするのがコツです。

水平尾翼のフィルム貼りが完了しました。

続いて垂直尾翼。固定翼部分は先にブームに接着した後、接合部回りをカーボンクロスで補強しておきます。その関係で、ブームへの取付け後にフィルム貼りをすることになります。

ラダーのフィルム貼りができました。

フィルム貼りが終わったところでラダーの取り付け。上下端をビスでヒンジを構成さいます。中央部はAVAに習って中間ヒンジを付けます。クリアフォルダをカットして作りました。

水平尾翼、垂直尾翼が完成しました。

ウラジミールモデルのVマウントを用いることで、尾翼回りの工作を楽に行う事ができました。

■主翼メカ搭載

フラップはメタルギアのウイングサーボを使用。

頂き物のです・・・・。

航空ベニアを積層してサーボベッドを作ります。

サーボベッドをエポキシ接着剤で貼り付けてサーボを取り付け。

サーボが動く事を確認して取り付けたのですが・・・・

完成後にセッティングしようとすると、動きがぎこちない・・

トリムのひとコマに反応してくれません。

止む無く買換えることに。懲りずにチープ路線を踏襲。

ホビキンのアナログメタルギアサーボを注文。
Turnigy 555MG Slim Wing Servo (Metal Gear) 4.2kg / .15sec / 23

値段は$19.99 安っ!

でもなんとか使えそうです。サーボベッドは新しいサーボに合わせて修正しました。

※安いデジタルサーボは使い物にならない・・という経験から、あえてアナログサーボにしました。

サーボコードを通す際は、コネクタケースを外してピンだけにして通します。ピンセットでコネクタケースのピンを持ち上げてやれば簡単に外せます。

この後、コネクタケースを元通りにセットします。

エルロン/フラップホーンは航空ベニアから切り出し。

両面にカーボンクロスを瞬間接着剤で貼り付けて補強します。

クレビスのふところは1.5mm。1.5mm航空ベニアだとカーボンクロスを貼る分、厚くなってしまったので1mm航空ベニアで作り直しました。

ホーンを動翼に埋め込みます。主翼本体側はサーボベッドのホーンに向かって穴をあけた後、カッターでクレビスの来る部分を削りとります。

クレビスは師匠推薦のMPJET/No2111B (M2ネジ、ピンφ1.6 )を使用。

このクレビスはピンを後から刺すタイプなので楽にリンケージできます。

口を開いてピンを刺すタイプだと、口が開く余裕がなく、うまくいきません。

完成写真。うまくできました。

MPJETのクレビス必須です)

■尾翼リンケージ

エレベーターのリンケージ

ウラジミールモデルのAVA用Vマウントに1.8ミリのカーボンロッド+クレビスでリンケージしました。

このVマウント15.95EURでした。

ラダーのリンケージ

ラダーの下端にホーンをビス止め。エレベーターと同様に1.8ミリのカーボンロッド+クレビス

尾翼サーボ

エレベーター:JRデジタルサーボ DS385(贅沢)
ラダー:JRアナログサーボ  ES375(これで十分)

 

受信機はJRのRG831B

主翼下のスペースに入れようと思ったらケースが邪魔で入らない!

やむ無くケースを外してシュリンクチューブに入れました。

 

■メカ搭載

パワーユニットは全部で253g

モーター:hyperion 2220-14  90g
アンプ  :Turnigy Plush 30A  28g
バッテリー :Turnigy nano-tech Lipo 1600mA 3S 25~50C 135g

モーターの搭載。

モーター本体はスリムなのですが、3本のケーブルの出っ張りが邪魔です。なんとかギリギリ取り付きました。

PODが少々長すぎたか・・かなりの前重。

ハンドランチ機では通常後ろ重になるので、その感覚でノーズを長めに設計したのが失敗。

電動機は逆で前重心にならないように注意が必要です。

前の重量を減らす為にバッテリーは小型の物を買い揃えました。

当初)Turnigy nano-tech 1600mA 3S 25~50C 135g

2番目)hyperion LG325-1300-3S 25C 103g

3番目)Turnigy nano-tech 850mAh 3S 45~90C Lipo Pack 73g

 

■完成


完成しました。

まずはグライドテストをします。
少し前重のようですが、まあいいかっ・・・

モーターONするとグングン上がっていきます。やはりモーターのダウンスラストが大きすぎたようで
機首上げが大きいのでかなりエレベーターダウンを打ちました。

あとでミキシングで調整する必要があります。
モーターの上昇力は普通に飛ばす分には十二分!

Wing span 2.4Mというサイズは大きすぎないのでハンドランチフライヤーにとっても
さほど大きな違和感はありません。

旋回についてですが、旋回時にエルロンを切った時に少し機首下げする挙動がありました。
早目にエレベーターを少しだけ打ってやる必要があります。

その他、いろいろと調整が必要ですが、サーマル大会の日程も目前に迫っていたので
大した調整もできず、試合突入となりました。

10分MAXの競技で1本目は9分59秒でしたが2本目は8分30秒・・・
機体の調整不足+練習不足でした。

それでも、いつものハンドランチグライダーとは違った楽しみがあります。

このサイズの機体の自作はダイナミックで、達成感も大きいです・・・自己満足ですけど  ヾ(´ρ`)ノ゛