■ 競技用DLG機 Hayabusa 12 の製作



■機体の設計




hayabusaシリーズ12機目の設計となります。機体シリアルNo.20

新デザインを採用します。

前回に引き続き、主翼面積に関する分類。

 

翼面積

中央翼弦
ナロー翼機

19〜20dm2

165mm前後
標準機

21〜22dm2

180前後
ワイド翼機

22〜24dm2

190前後

 
特性

ナロー翼機


非力ランチャーでもランチ高度が確保し易いのが最大のメリット。主翼抗力が少ないので重量の割に機動力があります。

上空でのサーチエリアも大きくとれますので人が行けないところまで足を延ばしてサーマルを捕まえることができます。そのままシンクに飲み込まれることもありますが・・・

デメリットとしては少々安定性に欠ける点。スピードコントロールをきちんと行う必要がります。スピードが落ちると沈下が大きくかつ不安定になるのでキャンバーコントロールをうまく行う事でカバーしてやります。

機体設計の面では、安定性を得る為にロングテール(尾翼容積確保)や高翼配置、上半角をやや多目にとるなどの工夫を行うことが有効です。

hayabusaシリーズではhayabusa 5〜9が該当します。というか、管理人は非力ランチャーなのでhayabusaシリーズは基本的にこの路線を志向してきました。

標準機


ナロー翼機と比較すると安定感があってコントロールし易い。少々ラフなコントロールとなってもリカバリーし易いことも含め、渋いコンディションで粘るにはこのくらいの主翼面積が必要です。

進入を良くするには主翼抗力に見合った重量が必要なので機体重量は250g以上をあった方が良いでしょう。これが非力ランチャーには少々きつくランチ高度がとりにくいです。
 

ワイド翼機


今回のhayabusa12が始めてのトライとなります。

安定性がさらに増し、コントローラブルになることでしょう。併せて旋回時の失速も起こりにくく、サーマルが薄い時などに特に有効なのではないかと想像しています。(製作してみないと分からないので実際のところは飛ばしてからのお楽しみ)

一方で、主翼抗力も大きくなりますのでこれを低減する為に薄翼を採用してみることにします。


ついでに市販機の分類も行ってみます。
こうして並べてみると、22dm^2超えの機体が多い事が分かります。
(BlasterとFireworksは2回カウントしていますが・・)
そうすると22dm^2超えを標準機と呼ぶべきではないか・・とも思ったのですが
MarkDrela博士のSuperGeeを標準と考える・・とすれば異論はないでしょう。


 
機体
主翼面積
重量
翼面荷重

ナロー翼機

輝龍
19dm^2台?
Limpide VD
19.18dm^2 200〜230g 10.4〜12.0g/dm^2
Voodoo
20dm^2位? 220g位? 11.0g/dm^2位
hayabusa9
20dm^2位 230g位 11.5g/dm^2
Steigeisen
20.68dm^2 260〜290g 12.6〜14.0g/dm^2
標準機
Stovel v2
21.2dm^2 240〜320g 11.3〜15.1g/dm^2
Akcent 2
21.4dm^2 274g 12.8g/dm^2
SuperGee
21.67dm^2 227g+バラスト70g 10.4〜13.7g/dm^2
Aspirin
21.99dm^2 250〜265g 11.4〜12.0g/dm^2
ワイド翼機
SALpeter
22.2dm^2 245〜265g 11.0〜11.9g/dm^2
Mistral
22.2dm^2 260〜290g  
Fireworks5
22.4dm^2 270g 12.0g/dm^2
Polaris
22.5dm^2 240〜380g 10.7〜16.8g/dm^2
Orion
22.8dm^2    
Concept
22.8dm^2 255g 11.2g/dm^2
Blaster3
22.9dm^2 260g 11.3g/dm^2
Fireworks 4.2
23.0dm^2 250g 10.9g/dm^2
Blaster2
23.25dm^2 280g 12.0g/dm^2
Sirius
23.4dm^2

260〜310g

11.1〜13.2g/dm^2

もうひとつ気付いたことがあります。
翼面荷重の下限値が意外と小さいこと。

hayabusaシリーズでは翼面荷重11.5gをひとつの目安としてきましたが
こうしてみると(特にワイド翼機では)下限値が11gそこそこにある機体が多いです。

主翼の摩擦抵抗と翼面荷重には関連性があると考えられますので
表面がピカピカのシャーレー翼の目安と考えるべきかもしれませんが
hayabusaシリーズでも シャーレー翼に匹敵する表面光沢を得られるようになってきましたので
これを機会に翼面荷重を11g近辺に目標おいてみることにします 。

次に翼型の検討

hm51 翼厚7.5%@22% Camber2.03%@33%
ag455 翼厚6.5%@22.5% Camber1.89%@32%
zone52 翼厚6.12%@22% Camber1.65%@31%
zone v2-60 翼厚6.16%@23% Camber1.6%@33.5%

管理人は翼型解析ソフトを使って解析している訳では ありませんので
理論的にどうだというのはよく分かりません (・Θ・;)

この4つの翼型は、翼厚を同じに変形させるとフォルムはとても類似しています。
逆に翼厚が大きな相違点です。

zone52はFireworks Flowで採用されている翼型です。ag455やhm51と比べるとかなり薄翼です。
zone v2はその進化型とでもいいましょうか。
最大翼厚や最大キャンバーがzone52と比較すると少し後ろに 移動しています。

zoneは良く見るとエルロンヒンジラインあたりが微妙に凹んでいます。
キャンバー下げ時のフォルムを意識しているのか?

で、今回は薄翼を採用したいので zone v2をチョイスすることにしました。

ついでにah84の翼型。上記4翼型とは形状を異にします。
比較すると前縁の位置が高いのとアンダーキャンバーがかなりきつめです。
あと最大キャンバーの位置が 50%あたりにある点。


ah84 翼厚7.3%@23% Camber2.04%@50%

今回のスペック

 

翼面積

中央翼弦
hayabusa12

22.5dm2

187ミリ

翼面荷重は11.0g/dm^2を目標として今回の目標重量は247.5g。

ちょっと難しそうです・・・とりあえず250gを目標としてみましょう。
 

■主翼のコアの加工

コアは久々にO工房さんでCNCカットして頂きました。

O工房さん、今年の夏にCNCカット装置の更新をされたようで品質は一段とUPしていました。

後縁の延長部は薄皮1枚分がきれいに残されています。

翼型で説明しましたが、エルロンヒンジラインあたりが微妙に凹んでいます。

ワイド翼にしたのでバックプレートの寸法が足らない事に気づきました。

いつものPPシート。購入される場合、離型しないタイプがありますのでご注意を!(必ずエポキシ接着剤などでテストしてから使用してください)

切り出す前にエアブラシ用のマスキングフィルムで養生します。これなら仕上げ面を下にして作業しても大丈夫。

これがない前縁部を削る際には傷だらけになります。

このマスキングフィルム20年以上前に買ったものです。いつか使う事があるだろうと、20年も大事に?とっておいた甲斐がありました。意外と劣化はありません。

コア接合→トリミング後重量21.3g。

以前にah84で中央翼弦180ミリのコアを計測した際は22.8gでしたので、翼面積が大きくなっているにも関わらず、薄翼の分1.5gも軽くなっています。
こうなると剛性が心配です。なんとか対策を考える必要があります。

仮に翼弦が180ミリとすると翼厚7.3%なら最大翼厚13.14ミリ。6.1%なら最大翼厚10.98ミリ、比率にすると16.5%薄くなります。
断面2次係数にすると3乗で効いてくるので、たわみで考えると6割程度の強度になってしまいます。

最初は和紙をバイアスに2枚重ねるプランなども考えましたが、よくよく考えるとマイクログラスを1層貼るのと同じなのでボツ・・・重量の割に強度の増加が少ない。

重量対比でいうとカーボンキュアシートを縦に割り込ますのが一番効果的と考えました。これはMarkDrela博士のSuperGeeに採用されている方法です。

図のスパーキャップは工作の誤差で段差ができるのがいやなので湿式の工作とします。

0.15ミリ カーボンキュアシートからスパーを切り出します。

SuperGeeの図面を参考に0.09”=2.3ミリ程度に。

ちなみにカーボンキュアシートはそんなに正確にカットできませんので約2.5ミリでカット。

コアにカッターを入れます。入り過ぎないようにカッター刃にマスキングテープでガイドを作っておきます。

スパーは風圧中心である25%の位置に入れます。スパン方向には全長に・・とも思いましたが翼端部は不用だろうということで640ミリとしました。

キュアシートの厚みは0.15ミリと言えども、カッター目だけでは差込めませんでしたので#320のサンドペーパーを差込んで削ります。

サンドペーパーが引っ掛かって部分的に巾が広くなってしましました。とてもデリケートな工作が必要です。

仮に差込んでみました。いい感じです。キュアシートが出っ張ると翼型に致命的となりますので念入りに確認しておきます。

バギングの際に5052樹脂を塗って差込みます。巾が広くなった部分は樹脂を多めに塗る事にします。強度に貢献するかもしれませんので・・

■バギング

 

型紙にデザインをスケッチ。

このデザインを決めるのに1週間以上、あれやこれやと考えました。カーボンCボックスのブラックをデザインに活かすのは結構難しいです。

テンプレートをつくり、和紙を切り出します。

和紙は後でトリミングしないで良いようにピッタリサイズに切り出しておきます。

カーボンCボックス部分のブラックの和紙に”うねり”をもったラインにしました。(カーボンは直線です)

スパーに5052樹脂を塗って挿入します。入りにくい部分はローラーで押さえます。

溝がゆるいところに樹脂を充填していきましたが、最終的には全長に渡ってたっぷりと樹脂をのせました。重量的には片翼で0.5g強でしたので重量の割に強度貢献は大いでしょう。

スパーキャップの様子。この部分も樹脂は多目に。

ねじれ剛性を確保する為に、アラミドはケチらずにカーボンの部分までラップさせています。

カーボンCボックスの巾は通常は30%程度ですが、今回は剛性確保の為に約40%まで大きくしています。

オモテ面の処理の様子。

着色がない部分にも無地の和紙を載せます。

バギングから出てきました。

心配していた強度ですが、スパーの効果は絶大でカチカチです。これなら心配ないでしょう。たわみ方向はしっかりした剛性を確保できました。
( ねじれ方向は今までと大差はありません。)

スパーは表面からは全く分かりません。スパーの凹凸が響くのを心配していましたが、スパーの上に3層乗っていますので影響はでませんでした。

気になる重量・・・トリミング後 約65g。

主翼は130g強となる見込み。目標とする250gを少しオーバーするかもしれません。

ピカピカに仕上がりました。

■尾翼の製作



ところで最近、機体表面の摩擦抵抗が気になっています。
各部位の面積比率を計算してみました。(適当ですが・・)
主翼以外で20%強あります。

部位
面積(だいたい)
比率
主翼
22.5x2=45dm~2
78.1%
垂直尾翼
2.3x2=4.6dm~2
8.0%
水平尾翼
1.8x2=3.6dm~2
6.3%
ポッド
0.25*3.14*2.4=1.9dm~2
3.3%
ブーム
0.1*3.14*8=2.5dm~2
4.4%

師匠のBlackMagicも最近は(超)鏡面化されているのに感化されて、
Hayabusaでも尾翼の鏡面化にチャレンジ してみることにします。


尾翼削り台で削っている様子。

そうめんの空木箱に5ミリのEPPを貼り付けています。
これ、結構便利です。

後縁を削る際は、裏面にマスキングテープ貼。

以前にテープを剥がす際にコアが破れてしまう例をお聞きしました。マスキングテープは軽く押さえる程度にしておくと剥がし易いです。

鏡面化すると重量が増すだろうということで

コアは2枚で4g以下にしておきます。

水平尾翼は厚さ0.5ミリx3ミリのカーボンスパーで強度を確保しますので薄くして軽量化します。

スパーにエポキシ接着剤を塗って割り込ませます。
厚みがあるので予めペーパーでコアの溝を広げておきます。

この方法は確実に強度を確保できます。カーボンスパーの重量増は約0.5g。 コアを0.5g分厚く作るより合理的です。0.5x3のカーボンスパーが折れることはまずないでしょう。

カーボンスパーの巾が3ミリのなで、かなりのギャップが出来ます。

エポキシ接着剤が固まったら、軽量パテでギャップを埋めます。

軽量パテによる重量増が殆どありません。

ビルダーのO薗氏が見つけられたPP製\100均バインダー。A4サイズですがバインダーのサイズはA4サイズより一回り大きいので対角で水平尾翼も十分です。

表面にバイアスのスジが入っていますが裏面は鏡面です。

厚さは0.6ミリでした・・・尾翼には丁度良い厚さ。

平面型を切り出します。

表面傷防止の為にエアブラシ用のマスキングフィルムで養生。
20年前に購入→20年後に大活躍です。というか、こういう使い方で活躍するとは思いませんでした。

前縁部を削ります。

大型カッターの刃を垂直に立ててスクレーパーとして使用します。この方法だと気持ちよく削れます。コレ、師匠考案の方法です。

※プレートを押さえる左手を切らないように!僕はカッターの先端が左手に刺さりました。痛タッ!!

バックプレートにアクリルラッカースプレーで着色。

完全に隠蔽するぎりぎりの厚さで塗ります。

重量計測すると、水平尾翼:片面で0.3g程度でした。水平・垂直で1.2g程度重くなる計算です。

ピカピカの尾翼が出来上がりました。

指紋がつくので素手でさわりたくないような光沢があります。これは病みつきになります。工業製品のような出来栄えです。

でも、カラーリングが地味すぎました。戦闘機の下面に使っていそうな色です。上空では空に馴染んでしまうでしょう。

スパーの跡や、アラミドヒンジの跡は全くわからない程です。

美しく仕上げるコツはまた次の機会にしましょう。

体重測定・・・水平 + 垂直で12.37g。この仕上げでこの重さであれば上出来です。

■胴体の製作

以前にオーダーメイドしておいた主翼パイロンのベース。

ピッチ80mmでφ5mmの穴をあけていましたが、今回はワイド翼なのでピッチ90ミリ。

急遽、延長しました。 尚、パイロン穴の部分は25ミリ巾のカーボンクロスで補強してあります。

主翼パイロンベースの位置決め。

主翼パイロンベースを挿入し、5ミリの長いカーボンパイプを2本差込んで通りと垂直を確認します。片方をそっと抜いてから瞬間を数滴流して位置決めします。その後、もう一方のカーボンパイプも抜いて瞬間をタップり流して本固定します。

パイロンベースが固定できたら、5ミリのカーボンパイプで作ったパイロンをエポキシ接着剤で固定します。

ポッドは背割り部分で開いて取り付けます。

パイプ側にはカーボンロービングを巻いておいて接着面を稼ぎます。

カーボンロービング部分にエポキシ接着剤をたっぷり付けて接着。

ポッドの終端部にはエポキシ接着剤を塗らずにおいて、瞬間接着剤で固定します。 こうすると、位置が決まりますので養生が楽です。

台座はバルサから削り出したベースにカーボンクロスを瞬間で貼り付けて製作。
この方法は堀内師匠が考案された方式です。
パテ塗り-乾燥-研磨の工程が省けますので時間短縮できます。

パイロン間にはバラストルームを作りました。

※カーボンクロスはクラフトるうむ製62g平織りクロスを使用しました。以前にもレポートしましたが、ハサミで切ってもほつれにくいのでこうした作業に最適です。

■完成



完成重量は250gとなりました。
重心調整の為にノーズに3g程度載せていますので
機体重量は計画どおり247gに納まりました。我ながらスバラシイ!!

↑↑↑↑ 斬新なデザインに仕上がりました。上空でもとても目立ちます。
尾翼のカラーリングは少し地味だったか?

↑↑↑↑ 主翼はピカピカ。 スパーを入れた効果で剛性は十二分!カチカチです。

↑↑↑↑ パイプのパイロン部はカーボン補強。特にエルロンリンケージ
の取り出し部分はパイプが欠損するのでこの補強が有効です。

主翼接合部のカーボン補強は ヒンジラインまででOK。
逆にヒンジラインにかかるとヒンジ加工が大変になります。

↑↑↑↑ 尾翼リンケージ(裏返して撮影)。エレベーターホーンは半内装。

↑↑↑↑ エレベーターホーン半内装はこの写真のような構造になっています。
カーボンスキンはテープヒンジで開閉できるようにしました。

↑↑↑↑限られた空間に収める為に、ホーンは火でであぶってへの字に曲げ込みます。
リンケージに用いているカーボンチューブの端部はシュリンクチューブで割れ止めしておきます。
シュリンクチューブの部分にバルサブロックを接着するようにすれば取り外す必要が発生した際に容易です。

サーボチョイスについて
部位
サーボ
備考

エルロン

FUTABA
S3154

トルクが十分でかつ軽量(7.8g)。堅牢性ではS3157やJR-DS385に劣りますが、ホーンの厚みまで含むとこれらより高さが低く、小さいポッドにも搭載し易い。

エレベーター

JR
DS318

スピードがダントツで速い。デジタルとしてはサイズも小さく軽い(6g)
トルクが小さいのが難点。ヒンジが渋いとトルク負けします。

ラダー

DIAMOND
D47

JR-DS318とパラで搭載する為にはこのサイズは重宝。それに軽い(5g)4個を全てデジタルにするとバッテリー消耗が激しく350mAhの1Sリポでは不安がありますがこのサーボを1個使えばそこそこ飛ばせます。

バッテリー消耗

 

1S350mAhリポで上記の組合せで45分飛ばして150mAh程度を消費します。


ナロー機HAYABUSA9.5との比較。中央翼弦が約20ミリ違います。
 

■飛行調整


クラフトるうむカップ前日の夜に完成。
るうむカップ当日の朝に初フライトとなりました。

まずグライドテストでエレベータートリムを合せ、軽くランチ。
今までの機体と明らか浮きが違う!

2-3投の後に、これは!とハードランチャーのOZ氏にテストランチをお願いしたところ
あえなくペグが折れてテスト終了となりました。

---------------------ペグの修理---------------------

折れたペグを抜いて取替え・・・とも思いましたが、抜く際にコアがボソボソになりそうだったのと
修理が早くできる方法としてカーボンロッドタイプの板ペグで修復することに。



ベース板は翼内に残したままにしてペグ部分だけを切り落としたあとに
のベース板にカーボンロッドの穴をあけて差し込みます。


ロッド径は3ミリ。厚みを薄くする為に少し削りましたが強度は十分だと思います。
テストフライトやり直しです。

---------------------重心---------------------

とりあえずバラストをあまり積まずに飛ばしてみます。

hayabusaシリーズで経験的に前縁からこの位であろう という位置に
なっているのですがどうも重心が後ろすぎる感じ・・

ワイド翼のせいか、それなりに飛ぶには飛びます。

Mark Drela博士のダイブテストでは CG at rear limit (後ろギリギリ)の状態

次回 Desirable behavior(丁度良い) となるようもう少し前にバラストを積んで
エレベータートリムをアップにしてテストしてみましょう。

---------------------沈下率---------------------

この機体は沈下率がとても小さい。
薄いサーマルでも粘る事が出来ます。

特に着陸(ハンドキャッチ)間近(地上10m以下)で
その違いがよく分かります。

今回は設計目標どおり250gに仕上がりましたので翼面荷重は11.1g/dm^2と
かなり軽い事が影響しているのでしょう。

---------------------スピードコントロール---------------------

サーマルモード+サイドレバーででキャンバーをグッとおろしてみます。

このとき、ナロー翼機ならスピードを下げながら沈下少なく飛ばせるのですが
この機体はそうはうまく行きません。

スピードが下がると失速し易くなります。
この翼はスピードに載せないと働きがよくないのか・・・とも思いましたが
結論を出すにはまだ早い。

何しろワイド翼で翼面荷重は11.1g/dm^2なので少し風が吹くと推進力が不足しそうなことは想像がつきます。

この重量ではスピードコントロールをしっかり行わないと
うまく飛んでくれないという事は言えそうです。

--------------------重心再調整(更新2011.12.18)---------------------

推進力を確保するために前にバラストを7g追加し、合計10g積んで調整。
重量は257gになりました。



これで前に出るようになりました。翼面荷重にすると11.4g/dm^2
やはり経験的な数値である11.5g/dm^2程度は必要なようです。

無風に近い状態であればあまり問題無いのいですが
少し風が出るとこの位必要です。

キャンバーについてはやはり3mm程度より多く下げるとスピードが落ちて
不安定になります。

主翼抗力に打ち勝つには推進力が足らないのでしょう。

前にバラストを積んだ分、エレベータートリムをアップに入れています。
本当はもう少し重心を後ろにしたいところです。

---------------------ランチ高度---------------------

ランチははっきり言って上がりません。
面積にして、たかが2dm^2位大きいだけなんですけど・・・

257gという重量とあわせて、ナロー機とは全く違います。

ランチ時に腕に掛かる負荷が大きいことと関係があるか無いかわかりませんが
ランチフォームが少し良くなりました。

僅かですが腕の遅れが大きくとれるようになり体全体のバランスが良くなったような気がします。

---------------------バラスト---------------------

推進力を得るために、バラストを積んでみる事にしましょう。
予め準備しておいたバラストルーム

航空ベニアで作った枠に釣り用の鉛を溶かして流し込みます。
(スプーンの上に鉛を載せてトーチであぶれば簡単に溶けます:師匠伝)

削り合わせ後の重量26g

搭載します。
ピンボケですが、気持ちよくピッタリ納まりました。

ノーズの重りを少し抜きました。
全体が重くなれば、もう少し後ろ重心でもいけるかも・・という考えです。
総重量276g。翼面荷重12.3g/dm^2

テスト飛行は強風下となりました
強風下ではこのくらいの風だと逆にこれ位の重量は必要な感じ。

全体が重くなれば、もう少し後ろ重心でもいけるかも・・と思っていましたが
やはり強風下では前重にしないと思うように進んでくれませんでした。

全体が重くなれば、もう少し後ろ重心でもいけるかも・・はダメでした。

バラストなしの総重量257g。

2個あるバラストボックスは後ろ側1つ(13g)を抜いても 重心位置は変わりません。

バラスト2個で283g(翼面荷重12.6g/dm^2 )
バラスト1個で270g(翼面荷重12.0g/dm^2 )

軽くした方が沈下率が少ないですが、重い方がランチが上がる。
沈下率を取るか、ランチ高度を取るか・・・

--------------------再調整(更新2012.02.24)---------------------

暫く更新が止まっていましたがあれやこれや試していました。

前回は強風下でしたが、ほぼ無風の中での再調整。
やはり重心調整の為にはノーズに10g程度搭載が必要なようです。

それから、ナロー翼機と比較すると、どうも走らないということで
主翼の迎え角を減らしてみることにしました。

2本ある主翼ビスの後ろ側ビスを緩めて1ミリバルサを差込んでかさ上げ することで
少し改善されました。主翼迎え角の調整はエレベータートリムでいじるのとは違った効果が出ます。

沈下量を小さく飛ばそうとすると、ついついスピードが落ちてしまい機体性能が活かせません。

”軽く”などと考えず、重量(翼面荷重)を増やして走らせた方が良い結果が得られそうです。

--------------------尾翼取替え---------------------

尾翼が破損したので取替え。
前のカラーは戦闘機カラー(目立たない)ので目立つ色に変更
こちらの方がメリハリがあっていいですね。

キャノピーも同じ色にしてコーディネートしました。


■工学的アプローチ


翼面荷重の変化に伴う飛行性能の変化について
工学的にどうなのか整理してみました。

沈下率と滑空速度の関係

沈下率は滑空速度によって変化します。
近似式として
沈下率=滑空速度÷揚抗比

●部分が最小沈下率。

沈下率小さく飛ばすには@の滑空速度をキープする必要があります。Bのように滑空速度を落としすぎるとかえって沈下率が大きくなります。Aの速度領域では速度を上げるほど沈下率が大きくなります。

 

翼面荷重を大きくするとどうなるか?

左図の赤いグラフのように

グラフが上に移動すると思っていたのですが、
違っていました。

(左図は間違い)

 

翼面荷重を大きくした場合の性能の変化はこの図が正解のようです。

最小沈下率は翼面荷重が小さい青の方が小さい。

翼面荷重が小さい機体の特性が活かせるのは@の速度領域・・・すなわち”ゆっくり”飛ばす状態。

走らせる必要がある場合(Aの速度領域)は翼面荷重が大きい方が沈下率が小さい。沈下率だけで言うなら、強風下で飛ばす場合は翼面荷重が大きい方が有利ということになります。

スピードコントロールが大切という結論です。