■ 競技用DLG機 Hayabusa 9 の製作



■機体の設計


2010年に入って8機目の機体となります。 我ながら飽きもせずによく続くものです。

これまでの機体で主翼の平面形は固まってきました。
これまで敢えて変えてこなかった翼型を変更してみることにします。

以下に代表的な翼型を並べて見ました。

zone52
翼厚:6.1%、採用機:Fireworks5
ag455
翼厚:6.5%、採用機:SuperGeeII
hm51
翼厚:7.5%、採用機:Sirus2009

zone52/ag455/hm51は翼厚は異なりますが形状は類似しています。
( ah84と比較して前縁のピークが尖っていて下方にある点とアンダーキャンバーが殆どない点)

この3つの翼型の場合は、翼型の違いというよりは翼厚の違いと捉えた方が近いでしょう。
仮に、同じ翼厚にして手作りで製作するならば、製作誤差の範囲と言えるかもしれません。

hayabusaシリーズではこれまでhm51をモディファイしたものを採用してきました。
深い意味がある訳ではなく、試しに使ってみてフィーリングが良かったのがきっかけで
その後は平面型を探る上で翼型はあまり動かさないようにしてきました 。

主翼平面型が定まってきたところで系統が異なるah84ベースの翼型を採用してみることにします。

ah84
翼厚:7.3%、採用機:Aspirin

尚、実際の飛行ではランチ時はランチモード、上空ではスピード/クルーズ/サーマルモード、と
キャンバーコントロールを行いますので、基準翼型そのものだけでは評価できない部分があります。

■尾翼の製作

前作より尾翼の製作はマイクログラス+転写方式に変更しました。

絹は強度的に不利と判断しました・・・

転写はホビーカラーのレッドメタリックを使用。メタリックは仕上がるとキラキラしてきれいです。
前縁部分は黒鉄色を軽く吹き付けてグラデーションにしています。

それから、ワンパターンの”ブルー”から”レッド”にイメチェンしてみる事にします。

垂直尾翼の下端部分。

カーボンプレートのスキッドを差込んで、周囲にアラミドを貼り付けておきます。

途中写真は省略していますが、一旦尾翼は完成させた後でトレードマークの”8823(はやぶさ)”を入れます。

バギング時に使用したクリアファイルにロゴを貼り付けて5052樹脂を塗って後貼りします。

重量が・・と思われるかもしれませんが、最近は尾翼にウエイトを積む事が多いので全く気にしないでOKです。

主翼中央のカーボン貼り用の治具で押さえて養生。

少し歪んでしまいました。

貼付け時に若干表面に気泡が残っていましたが、仕上がると気にならない程度になりました。

仕上がり重量10.09g

思ったより軽い・・(贅沢な悩みです)

※尾翼の面積は一般的な面積より5%程度小さくしています。その分、モーメントアーム(取付け距離)は大きくしています。


 
■主翼コアカット

最近は正確な翼型を表現する為に O工房さんでCNCカット をお願いしてきましたが、ここにきて久々に自分でコアカットがしてみたくなりました。

出来るだけオリジナル翼型に忠実に・・・ということで クイックさんに無理をお願いして別注で1.5ミリの航空ベニアをレーザーカットして頂きました。(ありがとうございました)

この機会にコアカッターもリニューアル。

コアカッターの記事はこちらに詳細があります。

失敗の山を築きながら、なんとか良品ができました。

コアを接合して整形したあと、コアの表面にできた細かいヒゲをペーパーで落とします。

サンディング後の粉は水(シャワー)をかけると簡単に流れます。

コア重量:18.74g(主翼面積約20dm2)


 
■主翼の製作
 
 

ネームはコピー紙に和紙(PLYSPAN)をテープ止めしてプリント。プリンターはA4までしか使えないのでA3のコピー紙から210x400のサイズに切り出して使用します。

プリンタのページ設定で紙のサイズを”ユーザー定義サイズ”を選択することで任意に設定できます。(CANONプリンタ)

ちなみに、私のようにインク使用面積が多いロゴをプリントをすると文字の部分だけ和紙が縮んでシワシワになります。ここれを回避する為にバギングの2時間程度前にプリントして使用しました。

今回は赤/黒のツートンカラー。コントラストが効いてなかなかキレイです。

樹脂作業の前にマイラーシートに和紙(PLYSPAN)をセットしておきます。

マイラーにWAXがけ

マイラーにマスキングして帯状に55スプレーを吹き付け
(この帯は消えませんのでなるべく薄く細く)

和紙をセット

はみ出した部分をはさみでカット

準備完了

Cボックス部分はHobbyKingのチープなカーボンを使用。(80g/m2)

従来より巾を1センチ弱大きくしました。(このクロスを使うと強度が不足ぎみになるのではないかという懸念より)

真空引き前の写真。

写真ではわかりにくいですが、主翼の直下には左右それぞれネガティブコアをセットしています。

土台には余っているスタイロを敷いて保温性をUP。室温は20℃を下回る状況ですので養生にはホットカーペットを使用します。

主翼の上にも左右それぞれネガティブコアをセットし、板→ホットカーペット→重しの板→スタイロの順に載せて養生。

このホットカーペット、作シーズンの終わりに1500円位で買いました。温度を最高にしても35℃位。これくらいでちょうど良いです。

ちなみに余った樹脂をカップのまま放置していたのですが、この時期12時間経ってもまだすこし弾性が残っていました。そう考えるとホットカーペットは必需品ですね。

表は赤/黒、裏は黄/黒の組合せ。

黄色は薄いのであまり発色が強くありません。

前縁仕上げ前ですが、トリミング後重量54.4g

今回は主翼面積20dm2なので主翼の目標重量110g・・合格です。


■組立て


主翼台座はネガコアをテンプレートにしてバルサから切り出します。(6ミリバルサで作って貼りあわせ)

写真の状態で前縁と後縁の高さを測れば、主翼の迎え角の確認が出来ます。

このあと、パイプにサンドペーパーを巻いて裏面を削りますが、これがくせもの。前縁側・後縁側を同じだけ削らないと上記の迎え角が崩れてしまいます。

ところで、カッターは3種類使用しています。

上から

鋭角刃
普通の刃
薄刃

主翼接合部の補強。Cボックス部はカーボン、それ以外はグラス・・デザイン上のこだわりです。

それぞれ事前に型紙をつくっておいて、ポリ袋にはさんで樹脂を延ばしたあとで必要サイズに切り出します。

皿ワッシャ部分はあらかじめポンチで打ち抜いています。

写真はクリアポケットを左右から被せて圧締する前の状態。

尾翼台座は今回よりバルサコア(師匠のアイデアによる)。瞬間接着剤でつくれ、ブームにも瞬間で取付けられるのがメリットです。ソフトバルサを使えば重量増はごく僅かです。

エポキシで予め尾翼に接着に接着しておきます。

※スタイロに瞬間接着剤を使うとコアが溶けてしまいますので厳禁です。

完成重量はバッテリー込みで224g。

主翼:114g
本体:100g
BATT:10g

まずまずの重量に仕上がりました。


■完成


赤/黒のコントラストを効かせたデザインでイメージが変わりました。


↓エルロンリンケージ部分のディテール。

リンケージは内径0.7ミリのカーボンパイプ+ダダリオ・ギター弦022(0.56ミリ)

内径0.7ミリのカーボンパイプは少し前にクラフトるうむさんから発売されましたが
最近になってR/C Web Shop Kbさんからも入手できるようになりました。

ダダリオ・ギター弦PL022(0.56ミリ)は普通は楽器屋さんにはありませんので取り寄せとなります。
(取り寄せは10本単位となる可能性大です)
※ダダリオの”PL"とはプレーン(単線)弦のことです。022となると通常はワウンド(巻線)弦です。
間違えてワウンド弦を買わないようにしてください。

私の買いに行く楽器屋さんは私がいつも買うせいかPL022がストックされるようになりました(;^_^A


↓尾翼台座部分のディテール

エルロンホーンは台座の後流に入るように配置します。
エレベーターヒンジは今回も下ヒンジ。

ランチ時に機体が壊れるのは水平尾翼の付け根あたりが多いので
念のためカーボンで補強をいれています。(左側のみ)

カーボンの下に見える2本の筋は尾翼のカーボンスパーです。


 
<フライト インプレション>

Ah84翼のインプレションですが、低速で失速しにくいと感じました。
ただ、今回の機体では主翼の迎え角をこれまでより若干大きくしましたので
もしかすると、翼型というよりは主翼の迎え角が大きいことも影響しているかも知れません。

サーマルの薄いコンディションなどで比較的ゆっくり飛ばす場合に
コントロールし易いでしょう。

これまでのhm51系翼と比べると重心を前にしてやる必要がある気がしますが
まだ、 はっきりした事はいえません。

これから色々と試してみることにします。