mini SAL機 「Sparkler」


 
  お手軽なSAL機を作ろうと
ミニサイズのSAL機「NANO」を製作しましたが、
飛行特性が独特で、ちょっともてあましています。(フライトテクニックが必要)

再度、ミニサイズのSAL機の製作に取組むことにしました。「NANO」を紹介している
PCM社のHP
はスパン960ミリのmni-Fireworksのマニュアルが公開されていますので
これをお手本にして自作をスタートしました。
※mni-Fireworksの製作マニュアは
http://www.pcm.at/downloads/Bauanleitungen/Mini-BI-Engl.pdf

垂直尾翼:http://www.pcm.at/downloads/Bauanleitungen/Mini_SLW-schleifen.pdf
水平尾翼: http://www.pcm.at/downloads/Bauanleitungen/Mini_HLW-schleifen.pdf

より ダウンロードできます。

mni-Fireworksにはラダー機:MINI-Sとエルロン機:MINI-Qに2タイプがあります。
ラダー機のほうが飛ばし易いのでしょうが、ハンドキャッチの為にブレーキが
効かせられるという理由でエルロンタイプを選択することにしました。

お手本にするとは言え、主翼はブームに直付けする構造としましたし、翼型の変更も
していますのでmni-Fireworksとは全く別の機体となっています。
(今回参考にしたのは全体のプロポーションです。かなりの縮小ではありますが、
mni-Fireworksの平面図が掲載されていますのでこの図から全体のプロポーションを
決定しました。また、水平尾翼・垂直尾翼の型紙はそのまま使用しました)

それから、ネーミングは「Sparkler」。線香花火という意味です。Fireworks(花火)ほど
迫力はありませんが、こじんまりと楽しめるようにという意味でネーミングしました。

この機体の最終的なスペックは、
全巾:930mm
全長:820mm(重心からの長さ580mm)
主翼面積:11dm2
翼面荷重: 11.8g/dm2
主翼翼型:AG455/46/47
サーボ:ROBIN4.4g(トルク0.6kg)
バッテリー:Lipo280mAh

全備重量:131g

■水平尾翼

2ミリバルサから水平尾翼を切り出します。
サンディング完了時点で1.2g

軽量化の為、ミクロンフィルム貼り。(バルサにラッカーで着色しました)

かつては、アサミさんでミラクルフィルムとして販売されていましたが閉店。長万部飛行機さんより調達しました。現在は、R/Cネットショップロビンさんや、R/C Web Shop Kb さんで手に入ります。

完成重量1.8g

■垂直尾翼

垂直尾翼も2ミリバルサから切り出し。サンディング後重量1.1g

ミクロンフィルム貼りにすれば軽く仕上がるのですが、あえて直張り仕様。SuperGeeIIでは、垂直尾翼を何回も損傷しているので、念入りに加工。
カーボンキュアシートを瞬間で両面に貼って補強。 下端は損傷しにくいように丸めました。

前縁にクロス貼り。52gのクロスにスプレー77を吹いて貼り付け。バギングするとシワは消えます。

バギングの準備。
・リリースフィルム+リードクックングペーパー

・クロス(26g/m2)
・クリアファイル

新聞紙にクリアファイルを載せ、さらにその上にクロスを載せます。今回は下端部分2重貼り。

この後の工程
エポキシ樹脂を塗りこむ
プリペイドカードで余分な樹脂を書き取る
・クリアファイルに合わせて新聞紙ごとカット
・バルサに貼付け。(両面)
・ずれないよう両面テープで固定

リードクッキングペーパーを貼り付けておいたリリースフィルムに挟んでバギングバッグに入れて、フードセーバーのスイッチオン。

完成重量3.2g

色が濃い部分は52g/m2のクロスで補強。

■コアの切出し

まずは、テンプレートの切出し。

翼型は、SuperGeeIIで使用したAG455/46/47にしました。

Fireworksの(縮小された)平面図より、おおかたの翼弦長を割出します。

エクセルに貼り付けた翼型の縮小倍率を調整しながら欲しい翼弦長の図面をプリントアウトします。

テンプレートは上面用と下面用を一枚づつ、そして翼根、中央、翼端の3セットを準備します。

1.5ミリ航空ベニアにプリントした図面をスプレーのり77で貼り付けます。ベニアを図面に合わせて糸鋸で切出し、サンドペーパーで滑らかにします。

サンドペーパーで滑らかにしたテンプレートの小口に瞬間接着剤を流して固めたあと、#400と#1000のサンドペーパーで水研ぎします。

これで小口がつるつるになりますので、コアカッターの熱線をスムーズに滑らせることができます。

コアはスタイロエースIIを使用。(SGIIを製作したときの余りを使用)

熱線カットは必ず失敗が出るので、多めに準備。

フルサイズと違って、スパンが小さいのでスタイロエースの使用量も少なくて済みます。

慎重に、熱線カット。

コアは下面からカットします。写真は下面のカットが終わった後、テンプレートを付け替えて上面のラインをカットしているところ。コアが小さいので重りは文庫本。

切出し完了。2セット準備できしました。

■コアの加工

翼端をカットし、成形します。後縁部は設計変更・・というか間違いというか、デザイン的に翼弦長が長すぎると感じたのでカット。

あとで、分かりましたが、後縁をカットするのはNGです。後縁に厚みが残ってしまうのでバギングの際、厚みで生じた空間に樹脂が溜まる・・もしくはエアかみとなり、口は開いてしまう といった結果を招きます。

サンディング時に後縁が欠けてしまいました。この失敗は前回SuperGeeIIを作成したときにもやってしまいました。

同じ過ちを2度犯すとは・・

コアのサンディングは、毛羽立ちを取り除くだけ!!削ろうとするとこのような結果になります。

先に下面のネガティブコアを接続し、それをベッドにしてコア本体を接続します。接続はスプレーのり77を使用。

続いて、スパーのカーボンキュアシートは貼る為の溝をつくります。金属製のものなら何でもOK。定規をあてて8ミリ巾の金属で深さ0.5ミリ程度の溝を掘ります。というか、型をつけます。(ピンボケ)

スパーはRCHOBBYのカーボンキュアシートを8ミリ巾に裂いて使用します。エポキシ系接着剤で貼り付け

上半角は6.5度。かいものをして翼端を浮かせておいて、直角な棒などにサンドペーパーを貼り付けたもので接合面の面出しをします。

■バギング

この段階で25g。主翼の目標65g。

バギングに、52g/uのクロスを使うか26g/uのマイクログラスを使うか悩んだ末、少しでも軽くということで26g/uのマイクログラスを選択することにしました。

26g/uのマイクログラスでは、あまり強度が期待できないので、一部は重ね貼りに。

そうこうしていると、バギング前でマイクログラスの重量17g。ラフカット段階では一回り大きめなので実際には15g位で納まるかな?

クリアファイルの切出をします。予め型紙を作っておいて、型紙に合わせてカット。

後縁は5ミリ程度長めに。(今回はネガティブコアの後縁も5ミリ程度長めにしてあります。これでバギング時に後縁が波打つのを防ぎます。

で、いきなり真空引き直前の写真。今回もクリアファイルに予めラッカースプレーで着色する転写方式でカラーリング。前縁部を紫にしてみました。(ポケモンのモンスターボールのような配色になりました。・・・この例えは大人には通じないかな・・)

 

ネーミングは「Sparkler(スパークラー)」日本語では線香花火。

ティシュペーパーをプリント紙に貼付け、インクジェットプリンターでプリント。(ティッシュの大きさは最小限にカット。大きいとしわができてNGです)

予め、リードクッキングペーパーを貼り付けておいたリリースフィルムに挟んで

バッグに入れて、バッグの口をフードセーバーにセット。ボタンを押して、バギング完了。

ネガティブコアに挟んで重りを載せて養生。これで3日間待ちます。今は真夏。工作部屋の室温は36度を超えていますので、エポキキシの硬化には絶好のコンディション。(人間には最悪のコンディション。)

ジャーン!楽しみな瞬間・・のはずが・・

失敗その1)
黄ばみが出ました。(原因不明)左の翼はなんともないのですが、右の翼だけ黄ばみ。

失敗その2)
クロスの浮き。
左翼には補強の為に巾10ミリ52gのクロスを斜めに筋交い状にいれていました。これにより段差ができてバギング時の押さえが利かず、クロスが浮いてしまったのです。(この補強は無くても十分です。余計なことをしてしまったようです)

クロスの浮き補修は小さな穴をあけて注射器で注入を試みましたが、普通に塗っても樹脂が染込むことが判明。上から普通に樹脂を足して再バギング。

谷間になってしまう部分にはクリアファイルの上からリードクッキングペーパーを部分的に貼り付けて、バギング時に圧着されるようにしました。

思いのほかきれいにリカバリーできました。

失敗その3)
翼根部の巻き込み。クリアファイルが長すぎて翼根からはみ出していました。これがバギング時に巻き込んでしまってエポキシ層を構成してしまいました。
結局、 翼根部を5ミリ程度カットしました。(ウイングスパンが10ミリ短くなりました)

バリを削った後、体重測定。60g。

ギリギリOKとします。左右に2g程度の差がありますので右翼に重りを搭載する必要があります。

■PODの製作

PODの製作は溶解法としました。コアはスタイロエース。溶解法による作り方は「RC飛行機製作日記」さんの記事を参考にさせて頂きました。

成形完了。#180のサンドペーパーを使用するとサクサク成形できました。

形が整ったら、#240のサンドペーパーで仕上げます。テールパイプの接続部分は現物あわせしておきます。原型より一回り大きくなりますので原型は小さめに。

成形を仕上げるにつれて、魚のようなフォルムになってきました。理にかなっているということで納得。

いよいよバギングの準備。スプレー77を用いてマイクログラスを貼り付けます。続いて、198gのカーボンクロスを貼り付けます。(同じくスプレー77を使用)

その後の工程
1)エポキシ樹脂を塗る
(余分な樹脂を吸い取る為)
2)マイクログラスの端切れを巻きつける。
3)ポリエチレンシートで巻く

マスキングテープでぐるぐる巻きにしてフードセーバーでバギング。まさに魚の燻製状態。

余分なマイクログラスをサンディングし、コア(スタイロ)をほじくり出した状態で7.9g。

機体に仮セットしてみたところ、デカイ!

前回、小さめに作ってメカ搭載に難儀したので余裕をみて大きさを決めましたが、ちょっと大きすぎたようです。

いやー、適当につくったしっぺ返しです。

■POD作り直し

気を取り直して作り直し。今度は画用紙に正確なスケッチをして型紙を作成。サーボを横置きにし、極力薄くすることにしました。

サーボを横置きにした理由はもうひとつあります。主翼をブームに直付けするつもりですので、エルロンリンケージロッドを主翼下面に配置する必要があります。そこで思い切って横置きにし、エルロンリンケージロッドを低い位置から取り出せるようにしました。

型紙に合わせてラフカット。まずは側面形・平面形を削りだします。この段階で平面・側面の外形をきれいに成形しておきます。(いきなり削り始めると、いびつになります)

サンダーバード2号にならって、リフティングボディ(揚力を発生させる断面形)形状にしました。

左が最初に作ったPOD

右が2個目。ツチノコのような形になりました。

バギング後の写真。

凹凸が多い形状なので凹凸部にはスポンジをつけて圧締されやすくしました。

硬化途中(36度で5時間後)の状態で、ハッチを切出します。

カッターでサクサクとカットできる状態を見い出すのがコツです。

完全に硬化したら中のコアをラジオペンチでほじくりだします。その後,アセトンを流して残っているスタイロを指でこすり落として完成。

サンディングしたあと、余ったエポキシを薄く塗り伸ばしました。

重量は8.0g。

ブームに接合して17.3g。

ブームはOK模型製。

■主翼の加工

エルロンカット。勢い余って全て切り落としてしまいました。これも前回やってしまったミス。学習効果がないのか・・左主翼はちゃんとできました。

主翼の接合。

ネガティブコアを左右接続してベッドを作ります。マイクログラスと瞬間で左右の翼を仮接続しました。

補強の52gクロスを置き、スポンジでエポキシ樹脂をしみ込ませます。

その上から98gカーボンクロスを置いて同じようにスポンジでエポキシ樹脂をしみ込ませます。

ティッシュ軽く樹脂を吸い取ったあと、クリアポケット(書類などを入れる薄い袋、腰があるタイプ)をかぶせます。

 

上にスポンジを置いて、重りを載せることでクリアポケットを圧着させることで、鏡面仕上げにします。

重りの直下にはかいものをしておかないと、上反角が浅くなってしまうので注意。

エアロペグの製作。1.8ミリのカーボンロッド+1.5ミリベニア+3ミリバルサで製作。 「上昇気流に包まれて」 さんの記事を参考にさせて頂きました。指があたる面がベニアその手前がカーボンロッドその手前がバルサという構造です。私の場合、指の掛りを作ってみましたが、これは飛ばして評価。

エアロペグのアップ写真。翼根側がベニア、翼端側がバルサです。

■組立て

エレベーターのベースはバルサに1ミリ航空ベニアを貼り付けました。(ビス固定を予定している為)

エレベーターには余った樹脂で作ったカーボンシートを貼り付けて補強。

(カーボンシートは余った樹脂+カーボンクロスを離型フィルム(クリアフィルム)に挟んだ後にアクリル板で挟んで作りました。はさみで切れてとても使い手があります)

今回は、軽量化・シンプル化の為にブームに主翼を直付けする構造としています。

主翼の取付けベース。5ミリバルサをエポキシで貼り付け。

※ベース下側はブームに合わせて、上側は主翼の下面に合わせて削り込みます。

主翼を取付けベースにエポキシで接着した後、カーボンクロスをエポキシレジンで補強します。

カーボンクロスを載せた後、クリアポケットを載せて・・

スポンジを用いて目玉クリップで押さえ込み。これで、へこんだ面にもクロスを密着させることができます。

■リンケージ

本来はタマゾーTS-1002を使いたいところですが、4.4gのサーボを使用。なるべく信頼性が高いと思われるのをチョイス。(お手軽がコンセプトなので)バルサでサーボベッドを作成しした。

ツチノコ型ポッドにはギリギリで搭載できました。(ホントにギリギリで、ホーンを横に倒してやっと入りました)いつもヒヤヒヤします。こででサーボが入らなかったらエライことですので・・

サーボは一度はめ込むと抜け難いのでテープの「タブ」をつけて取り出しやすくしています。

このままだと、サーボが浮いてしまう可能性がありますので上から、カーボンシート+1ミリバルサで作った板でサーボを固定しました。

エルロンのリンケージは0.9ミリのピアノ線を使用。写真の様に取出しました。

主翼の直付け構造はポッドをシンプルにする一方でリンケージにそのしわ寄せがくることがここにきて分かりました。

このエルロンリンケージは空気抵抗が大きそうです

ンケージロッドのスパンが長いので途中にステーをつけました。

ステーは0.5ミリのFRP板を主翼に瞬間で固定。そしてテフロンチューブをFRP板にテープで貼り付けています。

エレベーターのリンケージ。ホーンは0.5ミリFRP板から切り出し。

リンケージはおなじみテフロンチューブ+ギター弦。今回は0.17インチを使用。

ホーンをステーのすぐ横にくるように配置しましたのでテフロンチューブをステーに沿わせることができます。

垂直尾翼とブームの接合部はカーボンシートを垂直尾翼に貼り付けて補強しています。

エレベーターを裏からにたところ。1.7ミリのビス止め。ビス止め部分はカーボンシートで補強。

ラダーは固定なのでリンケージはこれで終わり。

体重測定。

280mAのリポを含んで全備重量131g。目標の130g以下に少し及ばず。

心配性なので各部に補強をしましたが、過剰な部分もありますので、そのあたりを省けば、あと5g以上は軽く作れると思います。


■完成写真
■ディテール