■直貼りSAL機 「SuperGeeII」 〜主翼、尾翼の製作〜




フルサイズ(スパン1500ミリ)のSAL機の製作にチャレンジです。

当初はスパン1200ミリ程度のコンパクトな機体をイメージしていましたが、初めての部分が多く、重量が重くなることが予想されるのでこれをカバーする意味でもフルサイズ(スパン1500)としました。
手探りで機体の設計を検討していましたが、先人より情報を頂き、以下の設計としました。

・機体はMark Drela氏設計のSuperGeeII
 http://www.charlesriverrc.org/articles/supergee/SuperGeeII.htm

・翼型はSuperGeeIIの設計図に従い、
 AG455ct-02r(翼根)/AG46ct-02r(片翼中央)/AG47ct-02r(翼端)

・主翼は真空にしてガラスクロスを直貼りする「バギング」を採用
 バギングについては下記を参考にさせて頂きました。
 RC飛行機実験工房さんのAtlantis-5の紹介ページ
 淀川滑空班さんの配布されている「超簡単直貼り主翼の作り方マニュアル」(郵送で送って頂きました)

・さらに、KOKURAさん、みっきーさん、okuさん、T-Craftさん、RC大原さん、KNIGHTさん、たかい@越谷さん 、きむらさん、長万部さん、ジャイアンさん、tokiさんをはじめたくさんの方にアドバイス頂きました。この場を借りてお礼申し上げます。

■尾翼の製作
尾翼は2ミリバルサを使用。クリアファイルでテンプレートをつくって切り出し。

少しでも軽く!と思いがんばってサンディングしていたところ、ガリっとやってしまいました。

ほどほどであきらめればよかった・・と思っても後の祭り。

気を取り直して作り直し。

垂直尾翼3.3g
水平尾翼3.9g

これぐらいで勘弁してください。

水平尾翼はフライングテール方式にする為にPPパイプを埋め込み・・しましたが、バギング時にパイプ内にエポキシ樹脂が入ってしまいNGでした。

■尾翼のバギング

バギングは本来は、真空ポンプを使って行うそうですが、簡易な方法があります。それは食材を真空パックする「フードセーバー」。昨年位までは、SANYOのフードセーバーZ-FS310なる商品が販売されていたのですが、なぜか国内では姿を消しました。

今は、フードセーバーVac550がSHOP JAPANさんで
¥19800これは高い!

悩んでいるとき、 ジャパネットたかたに、フードシーラー Z-FS100が¥9800で販売されているとの情報。さっそくポチッと注文しました。

バギングの準備。

硬化時間1hで終わらせるために事前準備は万全に。
使い捨て手袋
はかり
軽量&混合用カップ
はさみ
使用済プリペイドカード
(樹脂伸ばし用)
樹脂(5052)
スポンジを利用した筆
ローラー(これは結局使いませんでした)

PPフィルムとブルーワックス。

ちなみにこの写真のPPフィルムを使用したバギングはうまく離型せず、失敗でした。(T_T)

前縁と補強したい部分には細く切ったクロスをあらかじめ貼付けます。

クロスにスプレーのりを吹いて貼付け。ここでできる小さいシワはバギング時になじみます。

バギングの工程中は写真を撮る余裕がありません。

この写真は、PPシートにクロスをのせてエポキシ樹脂を塗り延ばした後、バルサに貼り合せたところ。つまり真空パック直前の状態。

リリースフィルム(内側)+リードクッキングペーパー(外側)を準備。

リリースフィルムは樹脂が離型できるものなら何でも可。今回はPPの袋使用。
フードシーラーのボタンON。

こちらは失敗作。

バギングへのチャレンジは失敗の連続。

失敗の原因
1)リリースフィルムとリードクッキングペーパーの内外が逆!初歩的ミス!(リリースフィルムが内側でリードクッキングペーパーが外側です)
2)最初は注型用の樹脂を使用した為、硬化不良や、厚みのムラの関係で(表裏の収縮の違いの影響で)反りが発生しました。 この問題は5052を使用することで解決。
3)マイラーシートが離型しない(i_i) 何種類か試しましたがうまくいきません。事前に離型テストをしなかったのが失敗の元です。

試行錯誤というか失敗を重ねながらなんとか完成。

完成品
垂直尾翼 8.3g
水平尾翼 8.9g
(クロスは23.5gを使用、樹脂たっぷり)
組立て前に重心の検討をしたところ、この重さだとノーズに15g以上のウエイトが必要なことが判明

なんとかウエイトを減らしたいので#240のペーパーでサンディング。 クロスがでてきて表面はザラザラになってしまいました。
垂直尾翼 7.6g(-0.7g)
水平尾翼 8.0g(-0.9g)
血のにじむ努力ですが、これで限界と判断。

やはり重い!!意を決して作り直すことに!

よくよく考えると、「スタンダードタイプ」のバルサを使っていたので、軽い「ソフトタイプ」に変更。

作り直し。
「ソフトタイプ」バルサはサンディング前で
垂直尾翼 3.6g
水平尾翼 4.6g
※「スタンダードタイプ」のサンディング前の重量を量り忘れていたので差は不明。

サンディング完了時点で
垂直尾翼 2.8g(サンディング前比-0.5g)
水平尾翼 2.8g(サンディング前比-1.5g)
※垂直尾翼は強度が落ちるといやなのでサンディング控えめ。

バギング完了。今度は合格。

垂直尾翼 6.5g(旧尾翼比-1.8g)
水平尾翼 6.8g(旧尾翼比-2.1g)
よくできました。

クロスは23.5gを使用、樹脂は少し絞りました。
特に、バギング時にバルサ側に塗るエポキシを控えめにしました。

主翼と尾翼の取付角を合わせ易い(主翼と尾翼を平行にすることが簡単)
という理由でフライングテール方式を採用。

sekiaiさんの方法を参考に、0.3ミリのアルミ板でステーの型取をします。

カーボンクロスをエポキシで貼り付けます。カーブがきついのでクロスの弾力で跳ねてしまいます。半硬化まで修正を重ねながら硬化を待って離型。写真は2重の状態。

最終的に4重にしました。

フライングテールの支点を適当に25ミリ程度のところに設定していましたが、本来は空力中心の少し前が適切とのことです。
SGの尾翼は、空力中心は前縁から22.4mmのところにあるそうなので、20mmのところにパイプを埋めなおしました。。
※ 空力中心の位置は、「平均翼弦の機首よりから25%の場所」というのが定義で、翼型や厚さには関係なく、翼の平面形のみで決まるそうです。
(情報提供:たかい@越谷さん)

ステイには0.9ミリのキリで慎重に穴あけ

フライングテール、リンケージ後の写真。

垂直尾翼は、テールパイプに割りを入れてエポキシで接着。

補強は、ガラスクロス49gとパイプ割れ防止のケブラー糸。

■主翼の製作

主翼のテンプレートは1.5ミリの航空ベニヤで製作しました。

翼型をgifデータでダウンロードし、エクセルに貼付けます。あとは、印刷設定で倍率を調整しながら印刷します。

テンプレートの上面は瞬間を流して固めたあと、#240→400→1000の順につるつるになるまで磨きます。

うっかり、前縁部をなめらかにするのを忘れていました。勾配が急激なのでカッターがうまく走らない可能性があります。

でもここまで作ったのでこのまま加工してみることに。手でカッターの動きを補助することでうまくカットできました。結果オーライ。

テーパー翼なので、長方形に切り出した後、テーパー形状に切り出しました。

でも結構無駄が多い・・

コアをカットする時の定規。アルミフラットバーを2本使い、輪ゴムで挟んでガイドにしました。

スタイロは30ミリですので1回では切れません。刃を何回かに分けて入れるとけっこうギザギザに・・

この方法はお薦めできません。

上記の方法の改良版です。

コアの寸法取り)
型紙を作って切り出しすと無駄が少ないです。(フィルムで作りました)

コアの切り出し)
ガイドを作って熱線カットするときれいに切れます。ただし、コツがいりますので練習してからにしましょう。

いよいよコアの切り出しです。

私の半自動カッターは2段テーブルになっています。
片付け易いので・・
奥のテーブルはカッターのコマが動く部分。手前は滑車を使った半自動装置とコアを載せる部分。
(奥のテーブルはコンパネをクランプで挟んでいるだけです。)

重りのRCAW(もしくはRC技術)

下からカットします。

失敗の山!

テスト、調整に2つ
コアの寸法間違いで1つ
コードがひっかかったりポカミスで3つ

殆どがカッターの設置を適当にやったしっぺ返し。急がば回れできちんとセッティングしないとダメですね。

成功は2セット

ま、良しとしよう。

翼端カットのテンプレートは手元にあった銅板で作成し、熱線カット。

翼端をサンドペーパーで整形。

粗削りは#100、仕上げは#320のペーパーを使用。

この時点でネガティブシェルごと上反角に合わせて削り合わせしました。

上半角は設計どおりの6.5度(翼端での高さ3.4インチ)になるようにかいものを置いて削ります。

内翼と外翼を接合。コアもネガティブシェルも接合します。

重量は片翼で23g

次にカーボンスパーを入れます。

RC HOBBYのカーボンシート(00.15ミリ厚)を幅15ミリにカットします。(少し小さめの14.5ミリ程度を狙う)

カーボンシートをカットする際、カーボンの繊維にカッター刃がとられて曲がってしまします。定規にスプレーのり(貼って剥せる55タイプ)を吹き付けてやるとうまくいきました。(これはRC飛行機実験工房のsekiaiさんのアイデアです)

コアに溝を掘ります。といっても掘るというよりは押さえて型をつけるというイメージです。

定規にスプレーのりを吹き、ずれないようにした後、幅15ミリの鋼尺で型をつけます。(これもRC飛行機実験工房のsekiaiさんのアイデアです)

きれいに加工できました。

スパーのカーボンシートをエポキシ系接着剤で貼り付けます。一応、ネガティブシェルに挟んで、重りを置いて養生しました。
これでかなり剛性があがり、しっかりしました。

このコアはバギングに失敗し、ロスしました。

重量は片翼で29g

コアのサンディングもうっかりしていると失敗してしまいました。

幸い、破片がありましたので修復することに。

離型可能な薄いシートで挟んで接着。

なんとか補修できました。

■主翼のバギング

主翼のバギングでは最終的にはA1サイズクリアファイルを用いてバギング成功。ワックスは用いませんでした。

↓こちらの文房具SHOPにA1サイズのクリアホルダーがありましたので注文しました。
http://www.altech.ne.jp/product/255-461.htm

サイズ:618x859
再生PPシート:厚み0.2mm
価格(税込): \393
送料: \525

カラーリングの為、PPシートにガイドラインを引いてグラデーションになるようスプレーします。その後、ラインに沿ってアルコールで拭取りました。

境目の部分が、滲まないよう軽くクリアースプレーを吹きました。

(情報提供:KOKURAさん)

デカール?は2枚重ねのティッシュペーパーを1枚にして普通紙に貼付けてインクジェットプリンターでお好みにプリント。

バギング時、コアに軽くエポキシを塗って貼付け。

(情報提供:KOKURAさん)

バギング作業中は写真をとる余裕がありませんでした。

この写真はバギング完了で一段落して撮影。このあとネガティブシェルに挟んで重しを載せて養生。

1回目は失敗!2回目のバギング。

12月でしたが室温は18度程度。暖房のあるリビングに持ち込んで24h後。

ピカピカの主翼ができました。

ティッシュペーパーを用いたロゴもうまくできました。
貼付け時に少しねじれましたが・・

後縁のフィルムを不必要に(1センチ程)伸ばしていたのですがこの部分がかなり波打っています。考えてみれば、この部分はネガティブシェルに挟んで重しを載せて養生してもはみ出すのでフードセーバーバッグの捩れをそのまま拾ってしまいます。

後縁のクロスは不必要に延ばすべきではありません。

出来上がり。(^.^)

※カーボンスパーの端部は「真直ぐ」に変更しました。

重量を量り忘れていました。

エルロンカット後:片翼で65g

本来はエルロンは完全にカットせずに、皮一枚残してエルロンカット加工をすべきなのですが、加工のし易さから完全に切り離しました。

エルロンカット部、薄手のクロス+エポキシで補強。

離型する薄手のフィルムど巻いて養生。

きれいにできました。

エルロンはテープヒンジにしました。

翼端のカーボン補強をします。

カーボンクロスにエポキシ樹脂を塗ってから、プリペイドカードなどを使って余分な樹脂をかき取ったあと、ポリエチレンのゴミ袋にはさんで、ゴミ袋ごとはさみで必要なかたちに切ります。

片方のポリエチレンをはがして貼付け。片方のポリエチレンはそのままにして養生しましたが、この方法だとカーボンクロスの端部が押さえきれずに暴れることが分かりました。

 

ペグの加工。ペグは板ペグにするか棒ペグにするか迷ったあげく、作りやすさを優先して棒ペグに。6ミリのカーボンパイプ使用。

※カーボンクロスの端部がが暴れたので後からエポキシで補修。

右側の翼端にはウイングスキッドを取り付けることにしました。(傷防止&重さ調整)

※カーボンクロスの端部がが暴れたので後からエポキシで補修。

翼端の準備が終わったら主翼の連結。

まずは、ネガシェルでベッドつくり。

ネガシェルベッドにのせて主翼をエポキシ系接着剤で連結。

上半角は設計図どおり6度。

主翼の連結部をカーボン補強。

今度はカーボンクロスにエポキシ樹脂を塗ったあとポリエチレンに挟んではさみでカットした後、カット時のポリエチレンは一旦はがして、大きめのPPポリエチレンで押さえて養生。(薄手のPPフィルム使用)

この方法だと端部がが暴れずにうまくいきました。

ウイングボルトの部分のつぶれ防止に0.5ミリFRP板で楕円形のワッシャを作りました。

下の丸いのはペグの補強用。

ウイングボルト部分のつぶれ防止ワッシャ。瞬間で固定。ちょっとエアが残ってしまいました。
ペグ完成。0.5ミリFRP板のワッシャを瞬間で固定後、エポキシ系接着剤でフィレット状に補強。
ウイングスキッド。1ミリベニアにカーボンクロス貼り。
完成です。(^^)/

ポッドの製作、リンケージ

直貼り機製作材料