CPUは集積度が高まるほど発熱が大きくなる傾向があります。一方、半導体は熱に弱く、高熱になると熱暴走などの不具合が発生します。
そんな訳でCPUの高性能化と冷却は切り離せない関係があり、騒音にも大きな影響を及ぼします。
管理人は、ムーアの法則(18ヵ月で性能および集積率が倍になる)に従ってCPU価格が下落することを考えながら、一世代古いコアを安価で入手するパターンをとっていました。でも、Pentium4以降、発熱の大きさが気になり、購入を見送っていました。
古い話ですがPenIII1.14GHzを型落ちで¥4,980で購入しました。このCPUを冷やす為に大型クーラー「鎌斬(カマキリ)」を¥3,410で購入。
CPUの集積度が高まると、それを冷やす静音クーラーも大型になり、CPU本体とCPUクーラーの価格が近づくという現象を見出したのでした。
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右:PentiumIII 700Mhz 用
左:PentiumIII 1140Mhz 用
CPUの高性能化と冷却は切り離せない関係
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CPUの発熱はTDP(Thermal Design Power):「設計上想定される最大放熱量」であらわされます。
これまでの流れを振り返ってみると、Pentium3以降、高クロック化に伴いPCが電気ヒーターと化していく様相を呈していました。しかし、ここのところ性能とTDPのバランスを意識したCPUが供給されるようになって来ました。これから先、さらにTDPの低い高性能CPUが開発されていくことでしょう。
※下の表は管理人がアバウトで捉えたものとしてご覧ください。
■Intel |
TDP |
旧
↓
新
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Celeron 433MHz |
20W |
Pentium2 |
10〜20W |
Pentium3 |
20〜30W |
Pentium4 |
50〜100W |
Core2 Duo |
65W
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Core2 Duo T |
35W |
Core2 Quad |
95W |
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写真の様な状態で騒音を測ってみると、 51〜52dBもありました。 (騒音計はA特性です) 夜間の室内は30dBほどですから、かなりうるさく感じます。
パソコン騒音はどこから発生しているか?
・ファンの回転音
・HDD(ハードディスク)の回転音
がその発生源です。HDDについては流体軸受け化によりかなり静かになりました。静音化対策としてはどちらかと言えばファンのコントロールがメインとなります。
ファンには次のものがあります。
・電源ファン
・CPUファン
・グラフィックカードファン
・ケースファン
これらを全て静音化することにより、40dB程度までの低減が可能です。
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うるさいなら、ファンを回転ささなければ良い!
そうです!究極の静音化はファンレス、スピンドルレス。
実際にファンレスのパーツが発売されようになってきていますが、かなりの高温になり、常用にはまだ少し不安が残ります。特に高性能なビデオカードではまだ両立は難しいようです。管理人は「冷やす」ことになぜか執念をもっており、ファンレスに踏み切れないのでした。
ファンの静音化には いろいろ試してみましたが、以下の方法がベストだと思います。
1.ファンは直径がなるべく大きいものをゆっくり回す。
2.回転数が下がっても放熱が確保できる対策をとる。
3.常時、温度を監視する。
これで、安全にファンの静音化を行うことができます。
ちなみに、かつては上の写真のように降圧パーツを自作し、電圧調整のボリュームを拡張スロットのパネルに取り付て、状況に応じて電圧を調整できるようにしていました。後にこのしくみのパーツが販売されるようになりました。
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CPU
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CPUは冷却対策が最も進んでいるディバイスです。CPU周りは十分なスペースが確保されており、大型のクーラーを取り付けることができます。
でも最近はCPUクーラーが巨大化しすぎて、何かと干渉して取り付かないという報告を見かけますので掲示板などで事前に相性を確認しておくのが無難でしょう。
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写真右がAMD標準のCPUクーラー。左はANDY侍MASTER SCASM-1000 \3980。静音で効率良く冷却するお手本のようなクーラーです。
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CPUクーラーの性能は次の要素が影響します。
・ヒートパイプ
金属管の中に冷媒が入っています。冷媒は蒸発する際に熱を奪いますのでこの性質を利用
したものです。効果絶大、優れものです。
・巨大ヒートシンク
表面積が大きい:つまりヒダヒダが多いほどと空気に触れる面積が大きく排熱効率的が高まります。
また、FANからの気流がスムーズ 流れる形状かどうかも問題です。
・材質
材質も関係してきます。CPUの発熱を効率的にヒートシンクに伝えることも重要です。
ヒートシンクは一般的にはアルミですが 次に示すように銅の方が熱伝導率が大きい(熱を伝えやすい)
ので放熱性に優れて います。
熱伝導率・・・アルミニウム: 236[W/m・K] 、 銅 :403[W/m・K] です。
・ファン
SCASM-1000は12センチファン。これ以上の大きさのものはPC用では見かけません。
静音化にはファンの回転数を落とすのが一番。
低い回転数で効率良く冷却する為には、直径が大きいファンの方が有利です。
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静音ニーズの高まりにより、マザーボードのユーティリティーソフトにファンコントロールソフトが付属するようになりました。
左は、ASUSのマザーボードに付属するソフト:PC PROBE IIにある QFan機能。QFan機能を有効にすると、CPUクーラーの冷却ファンの回転数を自動でコントロールします。
ちなみに12センチのファンは普通に回してしまうと爆音になりますのでファンコントロールは必須です。
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オーバークロックを行う際、通常はCPUのcore電圧を上げて対処しますが、発熱を抑える為には逆にCPUのcore電圧を下げることも有効です。「温度上昇はコア電圧の2乗と周波数」に比例するそうです。
Cool&QuietはASUSのマザーボードにおけるAMD向けクロック周波数/コア電圧制御プログラムです。
低負荷時にはパフォーマンスを落とし低消費電力、低発熱でCPUを動作させ、高負荷時には高いパフォーマンスでCPUを動作させることができます。
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電源
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通常の電源には8センチのFANがついています。
電源ファンは筐体の中の暖かい空気を排出する機能も併せ持っています。 電源ケースには「guarantee void if removeed」の封印があり、分解してファンコントロールする為にはこれを
剥がす必要があります。 この時点で、保証などが効かなくなります。 ケーブルは、一旦切断して延長するか、ケーブルの長さに余裕がある市販のファン
(同じサイズのものを買ってくる) に交換する必要があります。
電源ケースからの取出し部には、ゴムブッシュの部分を通 しておかないとジョートする可能性があり危険です。
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左は静音電源、12センチのFANを上面に配置しています。発想の転換ですね。
セオリー通り、大きいファンをゆっくり回す構造となっています。
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グラフィックカード(ビデオカード)
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現在、最もやっかいなのがグラフィックカード(ビデオカード)です。取り付けスペースの問題があり、大きなファン、大きなヒートシンクが取り付けにくいのがその理由です。
PCIスロット部分はスペースが狭く、限られたスペースでの対策が必要となります。
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グラフィックカードは、カードを「付けない」のが最も有効な対策です。必要なければ付けないことです。
グラフィックアクセラレータ(GPU)もCPUと同じく、高性能な物ほど発熱が大きい(値段も高い)ので付ける場合は必要最小限のスペックにしましょう。(必要ないのに高スペックなGPUを搭載するのは、お金とエネルギーの無駄遣いです)
管理人の場合は、ラジコンシュミレーターを動かす上では必須なので・・
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左はGeForce 8600 搭載のASUS EN8600
PCIスロットを2つ占有することで、大型のヒートシンクとファンを取り付けています。
このシリーズには同じGPUで、ファンレスタイプもラインナップされていますが、かなり高温になる&値段が高いということでこちらのファンモデルを購入しました。
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ASUSのグラフィックカードにはユーティリティーソフトSmartDoctorが付属しています。
SmartDoctorには左の写真のようなファンコントロール機能があります。冷却ファンの回転数を、温度に応じて自動でコントロールします。
それでもうるさいので、最終的には、ファンコントロールユニットにつないで回転を抑えることにしました。
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SmartDoctorにはHyperDriveという機能があります。
HyperDriveではグラフィックカードのパフォーマンスを必要としない処理のときには、動作クロックを下げ、グラフィックスチップの消費電力と発熱を抑えます。
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その他のファン
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上記でコントロールできないもの
・ケースファン
・キャプチャーカードのファン
などはファンコントロールユニットでコントロールします。写真のものは、フロント(3.5インチベイ)に取り付けるファンコントロールユニットで、3系統のFANが独立してコントロールできます。(USBポート付)
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ケースに取り付けたところ。
書き損ねましたのでここで紹介しますが、ケース内の気流の流れをスムーズにするのもテクニック。
・IDEやFDDのケーブルはスリムタイプを用いる。
・フロントに吸気FANを設ける。
(排気FANだけだと、ケースの裏側あたりで暖かい空気がショートサーキットを起こして排熱効率が悪くなります)
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